2014.02.16 亡霊ふたり
亡霊ふたり (ミステリ・フロンティア)亡霊ふたり (ミステリ・フロンティア)
(2013/12/11)
詠坂 雄二

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評価 4.4

相変わらずのごつごつとした文章で、決して読みやすい文章とは言えない(と私には思われる)。
話そのものも軽く何度もこちらの予想を裏切ってくれている。
いい意味でひねくれているのだ。
が、読ませる力、というのもまたあるわけで、ごつごつさが奇妙な魅力になってくる最終的には、というのが、詠坂雄二の人を惹きつける魔力なんだと思う。

これは一見「ボーイミーツガール」の話だ。
けれど、ボーイの方は、「人を殺したい」と願っているボクシングをしている高校生高橋和也であって
ガールの方は、「名探偵になりたい」と心から願っている高校生若月浪子(ローコ)であって
この二人のボーイミーツガール、
というところからして屈折している。
じゃあ、この二人が、最初は喧嘩をしながらも最後ある事件に向かって立ち向かっていく話というのが予想できるが、それでも全くない。

ボーイの方、高橋の思考をなぞって話は主に進んでいく。
・どうやってこの二人が出会ったのか
・なぜこの二人がその思考(人殺しになりたいのと、名探偵になりたいのと)に至ったのか
・校内にはびこる不思議な謎の数々(家庭科室から色つきの氷が消えた謎、近所の廃校になった高校に幽霊が出る噂、踊り階段で告白するとうまくいくという噂、陸上競技のスターターにまぎれて音がする不思議)を名探偵を目指すローコが解いていく

そしてローコが謎解きをしている日常の謎解き物語、と思っているとここもまたうっちゃりを食う。
後半アスカ2というあるものの謎を解いているうちにローコがとんでもないことになっていくのだ。
殺したいと常に願っている高橋の冷静な目が高校生離れしていて好ましい。
高橋の友達二人が、なんだか高橋と合わない気もするけれど・・・
またローコの小中学校時代を知っているある男子が出てくることによって、ローコの実体も明らかになってくる。
このあたりが面白い。

しかし、それより何より、私が一番驚いたのは、
この話、「遠海事件」とおおいにおおいに関わっていたことだった。
続編ではないけれど、遠海事件を先に読んでいたのといないのでは、読んだ感触が全く違うと思う。
根幹ともいうべきところだから、この話の。

以下ネタバレ
・ローコ、高橋ともこの高校を選んだのは、
遠海事件の佐藤誠の出身校であったからだ。
高橋は稀代の殺人者佐藤誠になりたく
ローコは、月島凪(しかし、最終的に彼女が今行方不明でしかも某国に行っているというラストの設定がものすごい)

・途中から高橋はローコを殺したいと思うようになってくる