注文の多い注文書 (単行本)注文の多い注文書 (単行本)
(2014/01/23)
小川 洋子、クラフトエヴィング商會 他

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評価 5(飛びぬけ)

もう滅茶苦茶好みの本で、最初から最後まで舐めるようにして読んだ。
クラフトエヴィング商會の作品が好きで、小川洋子文章が好きなので、心の底から楽しめた。
しかも扱っている底本があってそれが全て好み、というなんという幸せに満ちた本なのだろう。

この本、ちょっとした趣向が凝らしてある。
・ある架空のものを注文主がクラフトエヴィング商會(ここは実名)に注文する(この文章が小川洋子)
・注文したものに答えているのがクラフトエヴィング商會(この作品と文章がクラフトエヴィング商會)
・注文したものを見て、ありがとうの意味も含めた受領書がある(この文章が小川洋子)

この注文するものが、底本となる本から取られている。
その本から出てきた発想で、小川洋子がまた新たな物語を紡いでいる。
いわく
・川端康成の作品の「人体欠陥症治療薬」(なんて悲しい話なのだろう、そしてそこを小川洋子がうまく描いている)
・サリンジャー作品からの「バナナフィッシュの耳石」(サリンジャー作品の愛好者クラブの分裂の話がそこはかとなく笑える)
・村上春樹作品からの「貧乏な叔母さん」(これ、印象深い話だ。とりつかれた話とでも言おうか)
・ヴィアンの「肺に咲く睡蓮」(この話が一番胸を打った)
・百閒の「冥土の落丁」(本好きにはこのフェイクがたまらない)

クラフトエヴィング商會の作品も実にそれ「らしい」。
小川洋子の物語もどこもかしこも楽しめた。