ゴースト≠ノイズ(リダクション) (ミステリ・フロンティア)ゴースト≠ノイズ(リダクション) (ミステリ・フロンティア)
(2014/01/29)
十市 社

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評価 4.5

途中まで(またこのネタか・・・)と思っていたら、後半見事にひっくり返る。
面白かった。

この話、どうしたってAnother(綾辻行人)などの一連の話を思い出す。
こういうクラスの中で無視され続けている「幽霊」のような生徒がいて、その周辺がいて、誰か救い主のような人がいて。
この場合だと
・クラスで無視され続けている幽霊扱いの生徒が一居士架(いちこじかける)
・彼の前に座っている学校を休みがちな少女が玖保高町(くぼたかまち)

この二人が高町からの歩み寄りにより接触を持ち、架の世界が変わっていくのだ。
図書室で二人でこっそり会っては、文化祭の仕事を口実に話し合う二人。
そんな中、校内では蝶結びのサインを残した動物の死骸が次々と見つかっていくのだ。

話としてはどちらかと言うと地味な話だ。
そして文章もさほど読みやすいとはいえない。
それなのに読んでしまうのは、次がどうなるかという期待感に満ちているからだ。
一居士の暗い発想と暗い考え方が、高町によって滅ぼされていく様が小気味いい。
そして途中で現れた、恐るべき真実(高町がこれを突きつける)
そこで(ああ・・・やっぱりなあ・・・)と思ったものだった。
そして読者と一緒に、架も納得するのだ。

ところが、それが後半反転して、高町の出自、環境にまで行く時に色々なことが開いていく。
青春物語であるとともに、
何を見ているのか、というのが重要なキーになってくる作品だった。

ただ・・・
この名前は必要だったんだろうか。
もっと普通の名前でよかったのではないだろうか、主人公たち。

以下ネタバレ
・途中で、高町から新聞を見せられ、
一居士架の家から火が出て、両親は死に、本当に一居士架は幽霊だと言うことがわかる。
一居士は生きているがどこかに入院していて、そこから離脱してきたものだと。
ここで(だから皆がいないものとしているのだ)と納得。

ところがこれは、
偽の新聞であって、一居士は生きていてここに登校しているということがわかる。
ここが二重の驚き。

・高町には妹がいてその妹は死期が迫っている。
高町は実は施設から引き取られた両親のいない少女だった。
彼女の後に妹(両親にとっては実子)が生まれて、最初から心臓に欠陥があり両親は「妹」を疎んでいることに高町は気づいていた。
そして妹が死んだ方がいいと両親が考えていることも、風邪を引いている母の使ったコップを免疫力の弱っている妹に飲ませるコップとして使っていることも。

そして途中まで高町が、この父親に性的虐待を受けているというようにトラップがあるが、実はそれはない。