2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:5844ページ
ナイス数:373ナイス

ペテロの葬列ペテロの葬列感想
杉村シリーズで一番好きかも。老人のバスジャックから始まりますがここがまず読ませます。全てが開いた時にもう一度この場面読み返してみると大変巧緻に出来ていると思いました、会話とか老人の言葉の一つ一つが。現代社会の暗部を炙り出しながら、そこにそれぞれの人の人間模様、人間の本質をくっきりと描いていく・・・作家の見事な職人芸だと感服。悪は伝染するとホビットの話も忘れられません。が、全て終わって、このラストのこれって、こんなものが潜んでいるとは。この人許せない・・・わなわなわな。(そうは言いつつラストの一文にぐっ)
読了日:2月26日 著者:宮部みゆき
人喰いの時代 (ハルキ文庫)人喰いの時代 (ハルキ文庫)感想
大変面白く読みました。二人のノンシャランとした青年達が昭和初期を舞台に各地を放浪する話、片方が探偵役、片方が補助役と思いきや・・・・ああ・・・こうなのかこうなのかと。一つ一つのミステリが面白く(人喰いバスが特に好き)、読み進められました。ただ、帯に関してですが、この帯、予断をそれぞれの読者が持ってしまって、それは別の方向に行ってしまうと、(なーんだ違うんだ)と思ってしまうだろうから、微妙かなあ・・・(でも帯で多くの人が手に取るので効果はあるのだろうなあ・・・)
読了日:2月26日 著者:山田正紀
なぞの転校生 (講談社文庫)なぞの転校生 (講談社文庫)感想
深夜のドラマ(テレビ東京とテレビ大阪)が非常にいいので、何十年ぶりかに再読してみました。これとねらわれた学園が私の中で混ざっていたのもあって。ドラマでは高校生の設定が小説では初々しい中学生で、そこに美男子の(これも死語?)スーパー転校生がやってきて実はその転校生は・・という王道のSFジュブナイル展開になっていくところが相変わらずわくわくしました。幼馴染のみどりが転校生に惹かれるのに軽く嫉妬する広一が可愛いし、次元の話などSF話も楽しめるし。そして2013年10月に書かれた眉村先生のあとがきもまた必読かも。
読了日:2月19日 著者:眉村卓
誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち感想
日々、虐待のニュースは見ていても、その後の報道がなかなか見えてこない中この本を読んで、現代日本でこんなことになっていたのだなあと改めて打ちのめされました。具体的な事例とともに、虐待を受けた子供たちのその後を追っています。虐待を受けた子供の心と体の傷つき方のすさまじさと言ったら言葉も出ません。客観的に見たらどう見ても里親宅がいいのに、どうしても実母の所に戻ろうとする子供には泣けました。淡々と自分のやけど跡をこうされたの、と見せる子供にもまた涙。里親の努力にもまた心打たれました。開高健ノンフィクション賞受賞。
読了日:2月18日 著者:黒川祥子
新装版 図説 アラビアンナイト (ふくろうの本/世界の文化)新装版 図説 アラビアンナイト (ふくろうの本/世界の文化)感想
コンパクトにアラビアンナイトを説明してくれる本、と思いきや(その側面もあるものの)、深くてそして図版が最高に良いと思いました。大好きなデュラックの絵は勿論のことロデリック・マックリーなどもいいなあ・・・ステレットも捨てがたいなあ・・・(表紙の絵)、スマークの白黒のわかりやすい絵、ウォルター・クレインのカラーのくっきりとした絵(漫画に近い)もいいなあ・・・と有名な物語の梗概を読みつつ、絵も鑑賞しました。途中に挟まれるイスラム文化圏のあれこれ、ユダヤ人の扱い、千夜一夜物語の版の違いなども大変ためになりました。
読了日:2月18日 著者:西尾哲夫
注文の多い注文書 (単行本)注文の多い注文書 (単行本)感想
クラフトエヴィング商會作品と小川洋子の文章が好きなので興奮の一冊でした。また底本にした本(百閒とか春樹とかヴィアンとか)がまた素晴らしく好みで、ぎゅっと好みが詰まった本でした。趣向としては、1.架空のものをクラフトエヴィング商會(実名で)に注文する(小川洋子文章)、2.クラフトエヴィング商會が作る(クラフトエヴィング商會作品と文章)3.受領書を作る(小川洋子文章)、となっています。架空のものを実在にするマジック。そして底本を上回る魅力的な注文の話。好きで好きでたまらない本でした。
読了日:2月16日 著者:小川洋子,クラフトエヴィング商會
亡霊ふたり (ミステリ・フロンティア)亡霊ふたり (ミステリ・フロンティア)感想
かなり屈折してひねくれている話とごつごつとした文章が決して読みやすいとは言えないと思います。が、いつも詠坂作品読ませます。これは、「殺人志願」の男子高校生と「名探偵志願」の女子高校生の物語、なのですが、軽いボーイミーツガールの話でもないし、日常の謎解きでもないし、後半非常にハードな話になってきました。しかし一番驚いたのは、なぜこの二人がこういう思考に至ったかと言うところ。遠海事件読んでいるのと読んでいないのでは、きっと感触おおいに違うと思います。続編ではないので単体でも勿論楽しめますが。
読了日:2月16日 著者:詠坂雄二
ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ジュリアン・ウェルズの葬られた秘密 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
とても好きな作品でした。クック作品はやっぱりすごい。犯罪虐待物を書く作家のジュリアンが突然自死の道を歩んだ、そのことに疑問を持つ友人の文芸評論家のフィリップが、ジュリアンの足跡を辿って彼の心の動きを訪ねる旅に出るのです。フィリップが最後に見たのがアルゼンチンの地図ということと、初の著書に書かれた「わたしの犯罪の唯一の目撃者フィリップへ」という言葉のみを頼りにして。ジュリアンの作品が最後の章を除き章タイトルになっていて内容的にも読ませます。全部読み終わってから、もう一度読むと若き日の旅行に目を奪われました。
読了日:2月14日 著者:トマス・H.クック
マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)感想
殺人者の日記と、それに気づいたメイドのジニーの日記及び録音でひたすら綴られたミステリ。殺人者が4つ子の息子のうちの一人であるが、客観的に日記が書かれているので誰だかわからないという不気味さがありました。また自分の日記がのぞかれているというのに最初気づかない殺人者が徐々に気づき、ジニーと特定し、日記で挑発し、更にそこにジニーが書き込むというエスカレートしていく段階が面白かったです。が、日記ばかりなので単調なのと、4人の息子の人物像が浮かび上がってこないのと、ラストの詰めが甘いかなあ・・・と私はやや辛口に。
読了日:2月9日 著者:ブリジットオベール
もっと厭な物語 (文春文庫)もっと厭な物語 (文春文庫)感想
厭な物語と一口に言っても、自分の好みというのは厳然としてあると思いました。いいなーと思う作品と、これはどうなのと思う作品とにくっきり分かれました(心理的な怖さの話は非常に面白いが、ある種のグロ的な怖さは私はあまり好みではないので)黄色い壁紙はやっぱり傑作だと思うし(這うというのが決定打)、漱石夢十夜の中ではこれが一番印象深い。乳母車のぎいぎいと言う音の怖さ、ラストのファンタジーめいた著者謹呈は最後でああーー!と思いました。ロバートより倅の質問、赤い蝋燭と人魚より金の輪と思ってしまうのは、好み、の問題かも。
読了日:2月8日 著者:
混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)感想
既読のものもあるけれど、どれも大変面白く読みました。くすっと笑えるもの、爆笑するもの、ドタバタをひたすら楽しむもの、と多彩なコニー・ウィリスのマジックにやられました。まれびとこぞりては、なぜ睨みつけているだけの宇宙人が、睨みつけをやめたかの発見の過程が(叔母さんの話)笑えました。インサイダー疑惑が恋の話で好きかなあ・・・あ、でも最初の混沌ホテルの混沌っぷりもなんともかんとも楽しかったし、ディキンソンの詩を元に思い切りギャグにした魂は~は話そのものも面白かったけど、作者の最後の一言に大爆笑。ほんとそうだわ!
読了日:2月5日 著者:コニー・ウィリス
リュパン、最後の恋 (創元推理文庫)リュパン、最後の恋 (創元推理文庫)感想
最初のプロローグが震えるほど良い、と思いました。全体は活劇というか冒険と言うか、ただただ読んでいき楽しむのが王道と思われます。リュパンの手下たち、少年探偵団のようね。
読了日:2月5日 著者:モーリス・ルブラン
雪月花黙示録 (単行本)雪月花黙示録 (単行本)感想
限りなくラノベというか漫画と言うかアニメと言うか、そちら方面っぽいのに、なぜか私には絵が浮かびませんでした。申し訳ない。及川道博の笑い(多分ラブコメっぽく楽しく読むべきところ)もなんだか笑えず、これまた申し訳ない。伝統文化尊ぶミヤコと、帝国主義物質主義のエリアと日本が真っ二つに分断されている話なのですが、ミヤコの方に重心がかかりすぎているような気も。あ、途中の黒い楔のあたりはぞくっと大好きでした。
読了日:2月5日 著者:恩田陸
乙女の読書道乙女の読書道感想
ずうっと雑誌「本の雑誌」連載を楽しみに読んでいたので、大喜びで熟読しました。その連載のみではなく過去の別の媒体に出ていたものと、そしてラストにはなんといってもお父様の池澤夏樹さんとの豪華対談が。この本、タイトルとふわふわ表紙で騙されますが(いや騙してないのかもしれないけど)、がちがちのSF紹介マニアック本だと思います、海外ファンタジーも。彼女の偏愛ぶりが楽しいし、福永武彦本感想とか、お父様の薦めた全く別の方向の本への感想とか、ずれた本のところもまた読ませます。知ったかぶりがないところが好感度大。
読了日:2月4日 著者:池澤春菜
藤城清治  光と影の世界藤城清治  光と影の世界感想
かねてよりの大ファンなのでわくわくしながら見てみました。それはもう、現物の方がいいに決まっているのですが(特に影絵)、それでも藤城先生の繊細でいてそれでいて力強い作品に圧倒されました。小人が震災のあとの建物にいる、少しでも希望があるという祈りのようなものもしっかりと届きました。光と影の芸術が素晴らしいわね。(栃木那須の藤城美術館の素晴らしさは圧巻ですので、この本を手に取られた方で少しでも行く機会がある方は是非。損はしませんから)
読了日:2月3日 著者:藤城清治
―WONDER SPOT― 世界の絶景・秘境100―WONDER SPOT― 世界の絶景・秘境100感想
美しい・・・美しすぎる写真・・・。この本、ガイドブックというより写真集としての趣が非常に強い本でした、そして同時に世界はこんなに広いんだ!ということも改めて感じさせられました。いくつか私が実際に行った所もあるのですが、交通事情、周辺事情も案外詳しく書いてあってそれも参考になります。が、何しろ写真の迫力に圧倒させられて声も出ません。あ、本好きには図書館の部分も必見、厳かで素晴らしい本の並び方に倒れます。
読了日:2月2日 著者:
男性論 ECCE HOMO (文春新書 934)男性論 ECCE HOMO (文春新書 934)感想
折々に挟まれる漫画(似顔絵、これがまたうまい!)とともに楽しんだ一冊でした。かなり買うのを躊躇ったのは、彼女自身のことが延々と語られていると嫌だなあ(そこまで「彼女自身には」興味がないので)ということでしたが、全く違いました。彼女自身のこともさらっとは触れられていますが、それよりも、古代ローマの魅力的な男たちの話、ルネサンス期の男の話、ジョブズ、安部公房、花森安治と興味の幅は広く、そしてそのどこにも愛が感じられ読ませます。中でもラファエロ愛は素敵だったなあ。
読了日:2月2日 著者:ヤマザキマリ
世界で一つだけの殺し方 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)世界で一つだけの殺し方 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)感想
深水黎一郎 はいいなあ!驚きのポイントが心をぐっと掴んで離しません、それが短編であっても長編であっても。これは中篇が二作入っていました。最初の話は、少女の語りで始まり、家族三人が地方都市に旅行に行く物語。そこではスリが池の上を走ったり、見ている間に指名手配犯の写真が変わったり、それはそれは不可思議なことが起きるのです。その謎解きもですが、根本のある事件が驚きました。後半の象の話、専門的な音楽の話は別にして、冒頭の象遣いの話から最後の動物園コンサートまで一気に読ませました。にしても象って奴は!(愛情をこめて
読了日:2月2日 著者:深水黎一郎
ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)感想
今回はミスリーディングが楽しかったです、間に入る視点の変わった断章とともに堪能しました。二人の恋の行方にはすみません、あまり興味が持てないのですが、手塚治虫の漫画本の話、寺山修司の話(しかしどうしてこの作者は本好きのツボ、を突いてくるような作家を選べるのでしょう・・・感心)などむさぼるように読みました。どちらかというと短編連作集の方が私は好きだなあ。
読了日:2月1日 著者:三上延

読書メーター