2014.03.25 春、戻る
春、戻る春、戻る
(2014/02/05)
瀬尾 まいこ

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評価 4.5

ほわんとした物語だ。
ほわんの中にもひっそりとした謎が絡んでいる。

ある日、結婚間近のさくらの所に突然、兄と名乗る人物が現れる。
全く覚えがない兄。
更に、兄と言っている割には、ずうっと年下の男の子なのだ。
はたしてこの兄とは・・・・
なにくれとなくさくらの面倒を見ようとする兄・・・
さくらの結婚相手の団子屋さんにまで会おうとする兄・・・


強烈な物語ではないのだが、瀬尾まいこの小説は思わず読んでしまう力のようなものがある。
読みやすい、のもそうなのだが、お菓子のような小説もあってもいいのではないか、とふと思ってしまうような小説なのだ。


この話も途中で、この兄が絶対に本当の兄ではない(何しろ年下なのだから)というのはこちらにもわかってくる。
ではこれだけ好意を持ってくれている兄は一体誰なのか。
この興味もあるのだが、それよりも、段々と自分が嫁ぐ先の姑とか、夫となるべき人とか、その様子がほどけてくる具合が読んでいて心地よい。
最初の方ではなんだかこのさくらが、適当な所で手を打って結婚します、のように見える。
でも兄の存在が出ることにより、兄が未来の夫に色々働きかけていく。
一緒に遊園地に行ったり、今まできたことのないさくらの家に来たり、そこで全くお料理が出来ないことが判明したり(和菓子は作っているので出来ると思っていた、先入観で)。

姑に対抗心を燃やしている兄の姿も微笑ましい、なぜ妹の姑に・・と笑ってしまう。
またこの年下の兄、という突拍子もない設定を受け入れる、という時点で、嫁ぎ先のおおらさかのようなものもにじみ出ている、だからこのあたりとても巧妙な小説なのだ。

ラスト、途中で描かれていることで想像がつく。
想像がついても、やっぱりなあ・・とは思っても、がっかり感はとても薄いのだ。
なぜならこれがやっぱりお菓子のようなほんわりした桜色の小説だから。