養鶏場の殺人/火口箱養鶏場の殺人/火口箱
(2014/03/11)
ミネット・ウォルターズ

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評価 4.6

養鶏場の殺人

この作品は実際の事件にリンクしているようだ、どうやら。
(アーサー・コナン・ドイルが判決に異議を申し立てたらしい)
この話、読みやすくてとても面白かった、ラストは想像がつく範囲とはいえ。
しかし、海外の推理小説で(日本でもよくあるが)、ある時期昵懇にしていた女性が疎ましくなり別の女性に乗り換えるために邪魔になり殺す、というのは多いなあと改めて思った。
思ったと同時に(これは実際の事件なんだ)と思い返すと、実際の事件であるからこそ小説になるのか、というのもまた思ったのだった。

全く女性を知らない純朴な青年ノーマン。
彼に目をつけ教会で声をかける、年上の女性エルシーは実家でも持てあまし者の変わり者だ。
最初のうち二人はうまくいっている、エルシーは働き、ノーマンも父からお金を借りて養鶏場を始めて。
ところが・・・・


当時、だからこそだろうが、結婚するまで全く体を許そうとしないエルシーがいる。
一方で後半、妊娠したと騒ぎ立てるエルシーがいる。
もう途中の時点でエルシーが今の時代で言えば、精神的におかしいというのは見て取れる(著者のノートにもあるように)、そしてそれをわかっていたのはノーマンの父と言う分別ある大人だったと言うことも。
ノーマンとエルシーは途中までうまく行っているのだが、ここに一人の女性が出現しノーマンの心をかき乱した所からエルシーが余計なものとして浮上してくる。
このあたりの描き方が非常に読ませる。

以下ネタバレ
・仮にノーマンが殺していなかったとしても、解体したと言う事実はあるわけでそこが怖い。
しかも養鶏場という鶏の首を日常的に捻っている、という場所がまたこの話の怖さを増している。

著者ノートの最後の一行が聞いている。


火口箱

これは、どうしたって遮断地区を思い出す。
アイルランドに対しての偏見がある、ある小さなコミュニティーの村。
そこで、殺人事件が起こる。
アイルランドの男性が疑われて、その両親に対して周りの人たちが偏見丸出しの扱いを始める。
これに義憤を感じているのが、アイルランド出身のシヴォーン。
彼女は自分の子供の子守に、ロシーンというこれまたアイルランド出身の娘を使っていた・・・


小さなコミュニティーで発生する事件、偏見に満ちている人々、その人達の暴走が一旦始まったら止まらない、と見せかけて、実は、「思い込み」の怖さを出している作品だと思った。
偏見の目で見られている、と思い込んでしまう怖さがここには、時系列が組み替えられながら語られていく(この手法がとても面白いし、効果的だ)

以下ネタバレ
アイルランド人のシヴォーンは、アイルランド擁護のあまり、自分の子供たちを案じてくれていた人物まで誤解している。実はロシーンはとんでもない人間で、お節介でアイルランド人が嫌いな偏見の人、と思っていたシンシアが、実は何度も警告しようとしてくれていた善意の人というのが最後にわかるのだった。