2014.04.17 小さな異邦人
小さな異邦人小さな異邦人
(2014/03/10)
連城 三紀彦

商品詳細を見る


評価 4.6

色々な種類の話が入っている。
そこは連城三紀彦なので、トリックが冴え渡る。

表題作について言えば、トリックは非常にうまく出来ているが、私は内容的にやや頷けない所があった。
これが違う設定だったら、面白い!と心の底から思ったのだが。

私が面白いと思ったのは、夢か現実かわからない状況で同じようなことが何度も起こる冬薔薇、学生のいじめの話と思いきやそれが意外にも自分の祖父母の痴情のもつれの果てのある出来事に鮮やかに結びついた白雨(この真相は全くわからないのと同時に実に苦い)、あたりだろうか。
また駅の窓口で、自分が不倫相手と行った場所の切符を買い続けお金を払わない女の不気味さが出ているさい涯てまで、はシチュエーションが見えてくるだけに実に怖い。真相はそれほど驚愕するものではないけれど。


以下ネタバレ
・冬薔薇
走っていると、警察官が警告してくれ、自分が殺されたのか、なんだかよくわからない状況であるファミレスに向かおうとする女性。彼女には息子となんの興味もなくなった夫がいる。
映画のストップモーションのようにこれが繰り返される。
そのうち、自分が殺されたのではなく、実は自分が、夫と息子を殺したということに気づくのだった。
この話、描き方が非常にうまく読み進めるうちに、話の雰囲気煮からめとられていく。

・白雨
最初、娘のいじめ事件から端を発して、自分の幼い時に両親の夫が妻の不倫を疑って着物の上から刺したという話になる。
しかし真相は、夫が「同性」の友達と通じて、妻をのけ者のした、と言う話だったのだ。
更に夫がその着物を着ていたという・・・・


・小さな異邦人
8人の子供、という家に誘拐した子供を、と言う電話がかかってくる。
それは一体誰なのか。
そして現実には誰も誘拐されていないと言う不思議さがある。

一方中学生の長女、は重篤な病気にかかっているのに母に切り出せない。
信頼している音楽の先生に話すのだった、誘拐事件とともに。

この話、とてもいい感じで進んでいるのに、ラスト一点、重要な子供がおなかの中にいる、というので、中学生と言うのが非常に抵抗がある。
どんないい先生でもこれは違反ではないか。
これがもし高校生であったら、もう少し軟着陸の気持ちになれるのに。