2014.04.23 愛の国
愛の国 (単行本)愛の国 (単行本)
(2014/03/01)
中山 可穂

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評価 4.3

すごくすごく好きな中山可穂なのだが、今回それほど乗れなかったのは・・・

ひとえに、この設定だと思う。
近未来だかなんだかわからないが、この異常な日本の設定がSF的であり、どうにもこうにも違和感があったのだ。
美しい描写、官能的な描写も数多くありながら、私としてはとても惜しい。
普通の日本で普通に生きにくい姿を描けなかったのだろうか。
こういう設定があえて必要だったのだろうか。
特に中盤で、「強制してヘテロセクシュアルにする機関」の拷問シーン、男女を一緒の所に入れておけば愛し合うようになるだろうシーン、など、現在の日本では全くないシーンが現れる。
記憶喪失の女性がどんどん悲しい記憶を戻していく所など、大変読み応えがあるのに、この設定がフィルターをかけたようになっていて現実味がなく遠くに見えてしまう。

ミチル(懐かしい!)が記憶喪失で、ある墓の前で倒れている姿が見つかる所からして非常に美しい。
桜の花に包まれたこのシーンは忘れがたいシーンだろう。
そこから寺に保護され、そこから現在の日本の情勢がわかってくる。
非常に政治的な物語にもなってくるのだ。

ミチルがどのようにしてここまで来たのか。
どうして彼女は三角関係に巻き込まれたのか。
一体彼女は何をしていた人なのか。

これらの興味に引きずられて最後まで読み終えた。