ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)
(2004/11/28)
川上 弘美

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評価 4.9

かなり前の本のエッセイだけれど心地よく読んだ。
エッセイだが、折々のこと、というよりも、本のことが中心の話なのでとても面白く読みどころが満載だ。

今までで一番多く足を踏み入れた場所が本屋、次がスーパー、次が居酒屋というくだりには、ふっと笑ったりもした。
釣りの番を頼まれる川上さん(川岸でふいっと頼まれる)、芝生の上でタバコをたかられる(たかられている感じはないのだが)川上さん、ちょっとした日常の裂け目が好ましい、生きている、と言う感じで。

本に関しては、檀流クッキングの中の一品がたまらなく食べたくなるというのがわかる!(この場合は、オクラ大根和え)とうなずいたりしていた。
カルヴィーノのやわらかい月をモチーフにした月の記憶、など、絶品のエッセイではないか。

そして最後にある、本のタイトルにもなっているゆっくりさよならをとなえるの文章は、一種の詩なのだが、読んでいてこれまたわかるわかる・・・とほっこりした気持ちになったのだった。