2014.05.05 夢想の研究
夢想の研究―活字と映像の想像力 (創元ライブラリ)夢想の研究―活字と映像の想像力 (創元ライブラリ)
(1999/07)
瀬戸川 猛資

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評価 5(飛びぬけ)

何年か一度読んでいるが、何度読んでも傑作中の傑作。
本も映画も好きだ、と言う人には問答無用でお勧めしたい。
と同時に、これだけの人が早世したというのがあまりに惜し過ぎる、今の時代のミステリをどう読むか、というのをぜひとも知りたかった。

これと対になる本に、夜明けの睡魔、がある。
夜明けの睡魔はミステリに限っていて、どちらかと言うと夜明けの睡魔の方が私は面白いと思っていた、やや夢想の研究の方が落ちると。
しかしこうして読み返してみると、これも勝るとも劣らない素晴らしい作品だった。
多分前に読んだ時よりも映画で見ているものが多くなったからだと思う(言っている事が一つ一つ頷けた)
映画と本。
この二つ、結びつけて書こうとしている人と言うのは今でもたくさんいる、素人玄人問わず。
しかし、これだけ色々な「点」と結びつけ、しかも自分の薀蓄ばかりを語り過ぎず、さらにわかりやすく楽しく語ってくれる人って、いないのではないか。

最初の方の十二人の怒れる男が取り上げられているが、これまた全員の顔写真入りで素晴らしい解説だ。
この映画、多くの人が解説しているが、これだけ明快にそれぞれの人を縦横無尽に語って楽々とある種の境界線を越えてしまっている人もいないだろう。
そしてこの文章、含羞がある、途中でふっと自分を振り返ってみる可愛げがある文章なのだ。
こんなことよく知ってると思うでしょ→でもこれはこれを写したものなんですよ、と自分でばらしている(なんて可愛いのだろう)

ミステリが好きで好きでたまらない。
そして映画もたくさん見ていてそれとミステリとのつながりをばりばりに語ってくれている。
レイ少年同士の交流の話などもう泣けるほどいいではないか(レイ・ブラッドベリとレイ・ハリーハウゼン(特殊撮影の大家)。ブラッドベリは言うまでもなく・・・)

また進化論への言及(目からうろこの話だった、何度読んでもここは同じように目からうろこになる)、なぜ聖書スペクタクルがハリウッド映画で多いのに、アメリカ建国の話が少ないのかの謎(ここも何度読んでもどきどきする、しかも写真入りとは!)など、読みどころは満載だ。