2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:7193ページ
ナイス数:375ナイス

皆殺し映画通信皆殺し映画通信感想
期待なくして読みましたが(失礼)いやあ・・・笑った笑った!すっごい面白かったです。邦画76本を斬っているのですが、ただただ罵倒するのではなく、どこがどうおかしいかというのを突っ込みまくり、またその突込みがツボを押さえているのでそこが素晴らしいと思いました。またフェアでありました、そこここで。ただ・・・その映画が好きな人には怒髪天を衝くになるでしょうが。見てないのに最大に笑ったのが、新しい靴を買わなくちゃ。向井君を見たらもうこの話思い出します(まだ笑って。)。見てる映画の中では、風立ちぬの論が納得しまくり。
読了日:5月30日 著者:柳下毅一郎
殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件感想
何度も何度も本当にあったことなのか、と自問自答する、そんな本でした。公権力の横暴さ、捜査の杜撰さなど読むべきところは多かったように思います。釈放で話題になった足利事件のその先、を描いているこの本に引き付けられました。DNA型鑑定の話が私にとっては一番の衝撃でした、絶対と思っていたので。いまだに(本当のことなのだろうか)と自問自答し続けています。
読了日:5月30日 著者:清水潔
横道世之介 (文春文庫)横道世之介 (文春文庫)感想
傑作。はまっちゃってはまっちゃって・・と思うほど、はまり込みました。タイトルがこれなのに(だって変な名前)実に全うな「青春物語」でありました。それもある時期の(今となると色々と懐かしいものが。まず携帯とパソコンがないしね)。主人公の横道世之介が憎めないのです、すごくいいキャラなのです。大学に入って初めての一人暮らし、年上の女性への憧れ、ダンパ、お嬢様との恋、友情、そんなのがぎっしりつまっていました。途中途中で「未来」がたまに覗いているのも憎い試みで、最後なんだかじわっと泣きたくなりました、横道世之介効果?
読了日:5月25日 著者:吉田修一
僕と先生僕と先生感想
この話、先生がミステリ好きの中学生で教えを請うのがミステリをあまり知らず怖いものは苦手の大学生の男子のペア、と言う構図がまず面白いです。前作から更にパワーアップして、今回はレディバードと言う怪盗が現れ読みどころ満載でした。読んでいて楽しいし、ミステリの本ばかりかSFも(何しろ「レムさん」がいるのだから)本を紹介していて、それもいい本ばかりなので嬉しくてにっこにこになりました。しかし隼人君の台詞になるとコナンの声が響きます・・・あ、忙しい隼人君のお父さんも登場!こういう人だったのか!
読了日:5月25日 著者:坂木司
海うそ海うそ感想
静かに読みました、静かに静かに・・・御伽噺を聞くように。そういう気持ちにさせてくれる本でした。フィールドワークをある島でしている秋野、秋野氏のふっと出る心象風景、たらいの船で温泉に行く老夫婦(一寸法師みたい)、一度聞いたら忘れないモノミミ、海うそ、神話の世界のようでした。風の匂い木々のそよぎなどを感じながら、一緒に旅しているような気持ちになりました。変容していくものと全くそのままのもの。ラストの50年後でまた胸が熱くなります。ただ・・・やや「知」に走りすぎているかなあ・・・
読了日:5月25日 著者:梨木香歩
暗い越流暗い越流感想
後味は悪いし暗いのだけれど、実に巧妙な暗さで、私は大好きな短編集でした。特に葉村晶の二編よりも(失礼)、表題作などの三編が、どれもひねりが効いていて私の好みでした。どれも二段構えでラストのぞっとするようなツイストっぷりが素敵。暗い越流は、『犯罪者へのファンレター』というとっかかりから、台風などの気象情報を散りばめ、意外な真相にいくのですが、そのあともまたお見事。狂酔は、独白体で何がなにやら最初状況が全く見えませんが、途中でわかってきて、言葉を失い、そしてラストの一行のダメージが大きすぎ(でも好き)
読了日:5月25日 著者:若竹七海
名画に見る男のファッション (単行本)名画に見る男のファッション (単行本)感想
相変わらず切り口も語り口も面白い一冊でした。ホップステップジャンプがエッセイの中にあり、絵を語っていたかと思えば、そのモデルに話が行き、そこから漱石の虞美人草までというように話の幅があり楽しめました。単純な「この絵はね・・・」という囁きではなく、ファッションを見てそこからその時代を紐解き更には、その絵から喚起される別のことまで、と言う部分が読ませます。それにしても、ゴムの発明って重要だったのだなあ。フラゴナールのぶらんこ、単純に夢のような美しい絵、だと思っていましたが、こんな人達が色々潜んでいるとは。
読了日:5月17日 著者:中野京子
本棚探偵最後の挨拶本棚探偵最後の挨拶感想
号泣。これでラストなんて!嘘だと言ってほしい。というか事件簿があるからね!、ホームズは(脅迫)。今回は口絵入りで、月報入り(日下三蔵さんのお言葉が・・・)のプレゼントが。古本の話が多いのですが、古本のみならず「本好き」の心をくすぐる数々の所業・・・しかも笑えました、日下さんの書庫で放たれた北原さんの言葉にも笑ったし、小さい頃の夢をかなえるためにあるものを作ってその中に入ると言う暴挙(いとおしい馬鹿すぎて涙が)、リーとダネイのやり取りにも大爆笑(あとがきで更に笑いが増幅)。綾辻さんへのプレゼント欲しい・・・
読了日:5月16日 著者:喜国雅彦
読まずにいられぬ名短篇 (ちくま文庫)読まずにいられぬ名短篇 (ちくま文庫)感想
このシリーズ、はずれがないのですが、これもそう。傑作揃いで読み応えがありました。プラス編者二人の作品への実に深い対談が着いているのだからわくわくしました。既読未読問わず、個人的に好きなのは、SFともミステリともつかない深い味わいのある「その木戸を通って」、ラストの嫌さとタイトルが光っていて、思い切り私には怖かった「蝿取り紙」、弁護士の苦悩とラストサプライズが交錯する「処刑の日」、、単調な女性の一日から破調に転ずるいきさつを描く清張短篇の「張り込み」などでした。張り込みは最後の刑事の一言がきいているなあ。
読了日:5月16日 著者:
コンプリケーション (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)コンプリケーション (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
正直全部把握してるのかなあ、自分?と思いつつ、割合すんなり読み終えました。プラハの迷宮の中を行くというのはまさにそうで、不思議なガイドブックを携え、かつてここで死んだ弟ポールの行方を捜しにきた兄のリーに次々に不可解なことが起こるところが読ませます。しかも途中に挟まれた贅沢な、ルドルフ・コンプリケーション(時計)にまつわるさまざまな話・・。ただちょっと困惑する所も。全体より部分がいいなあと感じながら読んでいました。しかし、何より私が驚いたのは最後5ページでした。え!迷宮に惑わされているうちに、ええ!(驚愕)
読了日:5月12日 著者:アイザックアダムスン,IsaacAdamson
寂しい丘で狩りをする寂しい丘で狩りをする感想
辛い辛過ぎる・・・。この作者だからページを繰る手は止まらないのです、巧いから。追うもの、追われるもの、くるっと振り返ると自分が追っているはずが・・・そのあたりが非常に読ませます。なんですが、映画関係の話(フィルム喪失とか山中貞雄とか)が抜群に面白いだけに、この話の中に投げ込まなくてもとちょっと惜しい気がしました。ストーカーの話ですが、ラストのこの結末じゃないと終わらないというのがなんともかんとも、現実なんでしょうが、女性たちが何も悪くないだけに(運が悪いだけ)、やりきれなさが漂いました。
読了日:5月12日 著者:辻原登
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)感想
勝手に読みにくいのだろうと思い敬遠していて。今回読んであまりの面白さにぶっ飛びました。いきなりのSF世界が展開しますが全くオッケーで、生者、半生者の話から、超能力者とそれを阻止する不活性者の話まで、ジョーと言う人間を軸にして、月に11人の不活性者が行くというところまでがまず一段落。ここまでも十分面白いのですが、本当の面白さはそこから、なのです。現実と虚構とがぐらぐらに揺らぎ、(あれ?自分が立っているのは一体?)と自分の足元さえ見つめて。まさに「悪夢」の世界かなあ。それぞれの章の冒頭のユービックもおしゃれ。
読了日:5月11日 著者:フィリップ・K・ディック
幸せのコイン (中公文庫)幸せのコイン (中公文庫)感想
煤けた500円玉コインを狂言回しとしての短編集。ちょっとご都合主義のところもあるけれどさくっと読める作品。たまに500円玉がどこにあるかわかりにくいって思ったのは私だけ?ラストの話で救われましたが、あと一歩のインパクトが欲しかったような気も。
読了日:5月11日 著者:鯨統一郎
夜明けの睡魔―海外ミステリの新しい波 (創元ライブラリ)夜明けの睡魔―海外ミステリの新しい波 (創元ライブラリ)感想
「夢想の研究」の双子の姉妹の本「夜明けの睡魔」も一緒に再読。こちらの方が何度も読んでいるかも。そしてこれも傑作中の傑作。もう二度とこんなに楽しくわかりやすく縦横無尽にしかも軽妙洒脱にミステリを語ってくれる人は出てこないだろうなあ・・・。Yの悲劇についての論考が納得できます、どこもかしかも。カーへの偏愛ぶりもわかるし、スタンリイ・エリン作品も教えてもらいました。この本で、「最後の一撃」の三冊を知り読み漁ったのを思い出しました。エッセイ自体がミステリになっている早熟列伝の最後の一撃もお見事!私のバイブルです。
読了日:5月7日 著者:瀬戸川猛資
イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)感想
最後の二行で本を取り落としそうになるくらいに驚愕した単行本から10年ぶりくらいの再読。ネタが全てわかっているのでその目で読みました(当初も再読したので正確には再々読ですが)。まゆこというネーミングのセンス(なんて可愛い名前なんでしょ)が光ります。ただ・・・80年代がわからないとちょっと面白さが半減するかも(と言う人には大矢さんの最後の解説が読み終わった後とてもためになりますが)。二度目はさほどの衝撃はありませんでした、当たり前か。
読了日:5月5日 著者:乾くるみ
夢想の研究―活字と映像の想像力 (創元ライブラリ)夢想の研究―活字と映像の想像力 (創元ライブラリ)感想
何年かに一度読んでいるのですが、相変わらず思うのは傑作中の傑作。これと対になるのが夜明けの睡魔でこちらはミステリ一辺倒ですが(これまた傑作中の傑作)、夢想の研究は映画とミステリを縦横無尽に語る、というなんとも魅力的な本でした。最初の方で十二人の怒れる男を一人一人分析したり、進化論の話(目からうろこ)、なぜハリウッド映画で聖書スペクタクルが多いのかの話(目から・・)、もうどこもかしこも読ませます。そして文章に含羞とちょっとしたユーモアがあるのがまことに好ましい。博覧強記でありながらひけらかさないのも素敵。
読了日:5月4日 著者:瀬戸川猛資
亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)感想
ぼやっとしているイケメン、残念イケメン、無駄なイケメン(と私には思われた)の亜愛一郎の推理が冴えること冴えること!謎がまずどれも奇抜で心惹かれます。空の上での密室状態での殺人とか、戦時中の自殺以外考えられない場所での殺人とか、沼地の上に建てられた団地の中での殺人とか。謎に対する亜愛一郎の答えもまた、手品を見るような奇天烈さで目を見張りました。好きなのはホロボの神、右腕山上空、掘出された童話あたり。亜愛一郎の言葉の数々に伏線が潜んでいることにも驚きました。ただ好みはあるかも、地の文章が割合読み応えはあるし。
読了日:5月4日 著者:泡坂妻夫
シャーロック・ホームズの生還 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)シャーロック・ホームズの生還 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)感想
懐かしいし相変わらず楽しかったです、生還から読み始めたのは、自分がある物語を確かめたかったため。死んでいたホームズが生還してまた生き生きと事件に立ち向かっていきますが、なんといっても踊る人形のわくわく感と言ったら!(暗号好きなもので)ちょっと笑えるような踊る人形の形なのにその内容の怖いこととのアンバランスさが素敵。女性の過去というのが何度かテーマになっているし、自転車も重要なファクターになっているし、時代は感じるものの、それでもなお読者をひきつける力は健在なり。
読了日:5月4日 著者:アーサー・コナン・ドイル
謎物語―あるいは物語の謎 (角川文庫)謎物語―あるいは物語の謎 (角川文庫)感想
博覧強記の作者なので、それはそれは縦横無尽にミステリを語ります、そこが楽しい。ミステリのみならず、子供の詩(改悪はひどい・・・)、落語、俳句、と話は尽きず、それでいてきっちりと読み物になっているところが素敵です。この時点ではまだ書かれていない作品も多々あるので、もう既に北村薫作品を知っている人間としては、感慨深いものもありました。あともう一つ、この本の素晴らしさは、ラストに作品の索引がついているということです、素晴らしい丁寧なお仕事!(編集の方でしょうが頭が下がります)
読了日:5月4日 著者:北村薫
ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)感想
好きだなあ・・・このゆったりと流れるような空気感漂うエッセイが。日常のこまごまとしたことを織り交ぜながら、本のことも多く語ってくれているエッセイ集でした。川辺に行けば釣竿を持っていてと頼まれる作者、芝生の上でタバコを知らない人に無心される作者、と不思議領域に入りかけていた姿も散見して好ましいです。本の選択も魅力的で、特にカルヴィーノのやわらかい月をモチーフにした「月の記憶」というエッセイが絶品でした。
読了日:5月4日 著者:川上弘美
村岡花子エッセイ集 腹心の友たちへ村岡花子エッセイ集 腹心の友たちへ感想
とても丁寧な文章が綴られていて、読んでいるうちに不思議に落ち着いた気持ちになりました。学校のことも出てきますし、学校の先生たちの話も出てきてそれはそれは興味深いお話でした。学校を卒業してからのラジオの話、とか、仕事の話とか、時代だなあ・・・という部分、もあるのですが、全てに誇りを持って凛々しく立ち向かっていく姿が本当にすがすがしかったです。
読了日:5月4日 著者:村岡花子
首折り男のための協奏曲首折り男のための協奏曲感想
抜群に面白い!がっちりと繋がって短編群ではなく、ゆるやかに繋がっている(とあとがきにもある)物語ですが、首折り男の話を軸として、時空のねじれの不思議さとか、昆虫を飼ってる男の神視線の言葉とか、合コンの(さりげなく首折り男が!)ノウハウの微苦笑物のノウハウとか、それはそれはどれも楽しめました。会話も文章も相変わらずキレがよく、読んでいて楽しい気持ちになるし、またちょっとあとで考えてみると(あれはこうだったのかなあ・・・)と考えるような話も含まれていました。要は、単に「お軽い」「読みやすい」話じゃないんです。
読了日:5月4日 著者:伊坂幸太郎

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