2014.06.08 5月トップ3
今月のベスト本、多くあるので、以下列挙三冊を。

●まず、伊坂幸太郎のこの本。
首折り男のための協奏曲首折り男のための協奏曲
(2014/01/31)
伊坂 幸太郎

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完璧な繋がりではないのに
ゆるやかな繋がりがそれはそれは面白く。
伊坂幸太郎のいいところがすべてで多様な連作短編集。
時空のねじれ、もあってややSFがかっているところも素敵。
どの話もいいのだけれど、私は一種の神論、神の存在を考えるような話がとても気に入りました。

●二冊目はこれ。
本棚探偵最後の挨拶本棚探偵最後の挨拶
(2014/04/16)
喜国 雅彦

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シリーズだけど、ここから読んでも全くオッケー。
古本の話というのは、マニア以外面白くないのが多いのだけれど
この本棚探偵さんは、たとえ古本に興味がなくてもそれはそれは引っ張って行ってくれる面白さがあります。
なんといっても語り口の楽しさ!
稚気溢れるあれやこれやの行動!
江戸川乱歩、横溝正史に始まり古今東西のミステリについてのお話!
そして例の方(例の方・・・)の書庫整理(ここが白眉です)!
「本を読む」という行為の楽しさが満ち溢れている本で、ぜひともここで終わりといわずに
本棚探偵の生還を待っております(タイトルは見てお分かりのようにシャーロック・ホームズから)

●三冊目はこれです。
横道世之介 (文春文庫)横道世之介 (文春文庫)
(2012/11/09)
吉田 修一

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この本、ずいぶん前に読みましたが、まだ体の奥にずうんと残っている本です。
単行本の時にタイトルで(変なタイトル・・・)と思って手に取らなかった自分を反省。
抜群の青春小説、であるとともに、苦い人生そのものをくりっと抉り出した傑作だと思いました。
平成の三四郎(夏目漱石)を思う、上京してきた横道世之介。
彼が一人暮らしを始め大学生活を始める中でかかわっていく多くの人々、そして出来事が描かれているのですが、この本の素晴らしいところは、間間に「のちの彼ら」が出てくるのです。
最初、誰だかわからない。
でも読んでいるうちに(あ、この人はこの人だ!)とわかる仕掛け。
最初これが出てくると元々の話の流れが切れる、と思っていましたが、後半その意味がわかってくるのです。
実に効果的だということがわかりました。

そしてラストは涙がほとばしりました、ある写真の群れに、そして横道世之介に。
横道世之介の佇まいがほのぼのとしていて善人でおとぼけで、それもまた心にすっと入ってくるのかも。
何冊か吉田修一読んでいるのですが、今のところの私のベストはこれです。
もっと重いもの、深く考えさせられるものもたくさんあるけれど、こういう風に軽やかに人生を切り取り描いている本が私の好みなんだなあ、と改めて思いました。