2014.06.09 怒り
怒り(上)怒り(上)
(2014/01/24)
吉田 修一

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怒り(上)怒り(上)
(2014/01/24)
吉田 修一

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評価 4.4

冒頭で凄惨な殺人事件が描写される。
夫婦が惨殺されその壁には血で描いた怒の文字が。
こんなショッキングな場面で始まる小説だ。
更には、やや知的な障害を持った女の子が家出をして風俗に入れられるのをお父さんが引き取りに行くという衝撃的な話も最初のほうに出てくる。

これから一見無関係な話が3つ始まる、そのどれもに出てくる人間が、最初の犯人山神一也のように思えてくるから不思議だ。
もしかしてこの人が?いやこの人のほうが?と心は揺れる。
冒頭から見てこれは推理小説だろうと思っていたが、推理小説というよりも人間の心の暗部を描いた小説であった。
誰が犯人か、というのは途中からどうでもよくなった(興味はあるが)
この小説は、誰が山上かということよりも、そのことで右往左往していく周りの人間を描いたものなのだと思った。

(もしかして自分の愛する人が殺人犯なのか?)(自分の信頼している人が殺人犯なのか?)と全員が疑心暗鬼を生じている。
そして思えば思うほど、その人が殺人犯であるような気がしてくるという人間の心理の不思議さも描かれている。
どこからともなくふっと現れた訳ありな人間たちの本当の素性。
わからないだけに元からそこにいて関わりを持った人の苦悩は深い。
言いたくないことは誰しもあるけれど、その言いたくないことを頑なに言わないというところで更に疑いが増すというスパイラル状態になっていく。

白壁のところに書かれた邪悪な文字が全て犯人の壊れた心を表しているようだ。
ただ、私はこの話の肝心なところがよくわからない。
読み解けないのか・・・

以下ネタバレ
・山神一也の怒り、それは何から起こってるのか。
そこがよくわからない。