2014.07.28 忘却の声
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(2014/06/28)
アリス・ラプラント

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(2014/06/28)
アリス・ラプラント

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評価 4.5

これだけ厚いのにさくさく読めたのは空白のところが多いからか。
この空白部分が、認知症の人の頭の空白のようだった。

思った小説とはちょっと違った。
認知症の人の独白と、ノートに書かれた文字から判断される状況があり、そして認知症の女性は親友を殺した嫌疑をかけられている。
だから、当然ミステリと思い、心理ミステリのようなものかと思っていた。
が、ミステリというよりも、認知症の人の悲惨さと言う部分の方が私に伝わってきた。
ミステリは最後に意外なことがわかるのだが、その意外さは予想範囲内の意外さだ。
途中で(おそらくこうだろう・・・)と思うようなことが最後に出てくる。
だからここはそれほどのミステリ度というのは低い気がしたのだった。
記憶を辿る旅、というのも思っていたのだが、そこも多少はあるがそこまででもない。
彼女の独白とノートに書かれた文章、介護人や娘たちが記した伝言の断片で全てを把握していくのだ、読者は。

64歳のジェニファーはアルツハイマーを患っている元手の外科医のエキスパートだ。
夫は既に他界していて、息子のマイケルと娘のフィオナがいる。
彼らは理想的な家族のようであったが、色々問題があった・・・
そして近所で家族ぐるみの付き合いをしていて、ジェニファーの親友だったアマンダ。
彼女はのちに離婚するのだが、ジェニファーが発症してから、ある日、家の中で殺される、「手の指」を切断されて。


手の専門の外科医が一方でいて、指を切られている被害者がいて。
だから当然指を切ったのはこのアルツハイマーの元外科医だろう、というのは容易に推測がつく。
けれども、どうしてそうなったのか。
そして殺したのは本当にこの人なのか。
ミステリ的にはそのあたりが考えさせられる。

一方で、息子のマイケルのどうしようもない依存体質、常にお金がないと無心してくる様子、小さい時から母親べったりだった問題行動がある様子
娘のフィオナが途中までは引っ込み思案な子ぐらいだったのに、途中から道をそれてそれは親を心配する行動をとったりした経緯、今は立ち直っている様子
夫が秘密の多い人間だったということ、不倫をしていたのではないかということ、
そしてこの家族と、アマンダ夫婦がある日一緒に出かけた日の鮮やかな記憶。

記憶の渦に巻き込まれながら、ジェニファーはとうとう悪化して施設から脱出する。
そこから脱出して自由になり、レストランで普通の人と普通の会話をし
そして、ラストシーンが・・・・

段々認知症で壊れていくジェニファーの姿が印象に残った。

以下ネタバレ
・アマンダは、ジェニファーも不倫をしていて
フィオナは、夫との間の子供ではないと指摘していた。
そしてアマンダのお金を、ジェニファーの夫はひそかに盗んでいたのだった、それも大量の額を。
(しかしここがよくわからない、方法とかその経緯とか)

アマンダにそれを指摘されたジェニファーの娘フィオナは思わず突き飛ばしアマンダは死んでしまう。
指の中に残ったのが、母親のメダル。
そこに母親が来て、指を切ってそのメダルを取り戻したのだった。