2014.08.10 神様ゲーム
神様ゲーム (講談社ノベルス)神様ゲーム (講談社ノベルス)
(2012/05/08)
麻耶 雄嵩

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評価 5

ということでこちらも再読。
最初に読んだときには子供レーベルの本で読んで、(これを子供に読ませていいものなのか・・・)と思ったものだった。
いけないだろう。
やわな子供だったらやられるだろう。
というか、もしこのラストについて聞かれたら(絶対にわからない子供がいると思う)、どんな顔で答えればいいのだろう、親は。

・・・・
大人の版で、「結末がわかっていて」読むと、実に味わい深い。
色々なところに色々なものがちりばめられているからだ。
冒頭のどこにでもある光景のような、お誕生日会。
そのお誕生日会で一本のろうそくが去年もそしてまた今年も消せない小学生の男の子芳雄。
この子の考えることは(小学生にありがちね・・・)の考えなのだ。
それなのにこの場面が非常にあとで重要になってくるとは誰が予測しえよう。

小学生の芳雄の住む町で、猫殺しが始まっている。
芳雄の好きな女の子の猫も被害にあっている。
同級生と探偵団を結成して、猫殺しの犯人を追い詰めることにした、そして秘密基地もまた作ったのだ。
一方で、転校生の冷静な鈴木君がいる。
掃除のときに知り合って話すと、自らを神様と語り、猫殺しの犯人をさらっと教えてくれる・・・・
そして殺人が起こり始め・・・・


この続編のさよなら神様を読んで、すうっと入っていけたのは、この物語を最初に読んでいたからだと改めて思った。
なぜなら、この神様ゲームを読んでいた時点では、鈴木君が神様と自称しているというのがそもそも本当なのかどうなのか、と読んでいる間中思っていたからだ。
これが「ありき」で考えて、鈴木君が全能であると考えて、最後大団円(というのもはばかられるが)を迎える。
ここでようやく納得するのだ、鈴木君は神だったんだと。
だからさよなら神様を読んでいる時に、無意識でも(鈴木君は神なのだ)と納得している自分がいた。
全知全能の神、鈴木君。
だから鈴木君の言うことは間違いがないし、鈴木君のやっていることにも間違いがない。

しかしなんという物語だろう。
冒頭から途中までは、リンドグレーンの名探偵カッレとスパイ団のような小学生の子供たちの活写で始まっている。
そこに猫殺し、とか、他の地区の殺人とかはちらちら出てきてはいるが、基本、秘密基地を作って楽しんでいる子供たちの明るい物語にも見える。
小学生の子供たち同士の秘密の守りあい、男の子同士の友情と喧嘩、女の子への憧れ、警察官のお父さんへのそこはかとない尊敬、愛情深いお母さんとのやりとり、もうこのあたりは児童小説そのものだ。
が・・・・
途中で暗転するこの結末・・・誰が予測しえようか。

以下ネタバレ
・二度目の読み、なので、最初からお母さんが共犯者と思って読むと味わい深い。
専業主婦であり
非常に小柄であり
もらわれっこの芳雄を育てていて(お母さんは女の子にしか興味がないから、芳雄は毒牙にかからない。だからもしかしたらお父さんもお母さんのこの性癖を知っていたかもしれない。)
多忙を極めるお父さんが帰宅することすら少ない孤独な主婦である。

・お誕生日で、これが自分の本当のお誕生日ではないか、と思っている芳雄を読者は考えすぎのありがちな小学生と見る。
が、鈴木君いわく、彼はもらわれっこなので別の誕生日があるのだ。


・憧れていた女の子ミチルは、不適切な関係を
芳雄のお父さんとではなく、お母さんと持っていた。
それを親友の英樹にみられたので、ミチルは殺した。
だからミチルは、上から落ちてきた大時計の針で串刺しになった(天罰。英樹を殺した人に天誅を下して欲しいと芳雄が神様に頼んだから。)

そしてその共犯者はお母さん。
なぜなら最後天罰のように火だるまになったのはお母さんだから(これも共犯者に天誅を下して欲しいと芳雄がねだったから)

・最初のお誕生日場面から、お母さんが小さい、というのは出ている。
また途中の英樹井戸遺体を見るときの聡美の姿を見て、喪服の母を思い出す芳雄の回想からも小さいことがわかる。
更に最後燃えている「小さな」お母さんと言う描写がある。
だから最後、はじめに推理したように物置に隠れたお父さん、ではなく
井戸のふたの中に隠れることが出来たお母さん、なのだ。
そのくらい小さいお母さんだった。

他のところの部分の想像は、共犯者がお父さんだったときとほぼ同じ。
ただ、ミチルがお父さんに連絡をさせたのは、身内の捜査で、少しでも共犯者の時間を稼ぐため(もしかしたら共犯者と打ち合わせがあったかもしれない)
最初の段階で、ミチルが飛び出してあとから皆が飛び出してきたのも、共犯者との打ち合わせどおり。