パラークシの記憶 (河出文庫)パラークシの記憶 (河出文庫)
(2013/10/08)
マイクル・コーニイ

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評価 5

面白かった。
前作
ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)
(2008/07/04)
マイクル・コーニイ

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を読まないでこの作品を読むのはおそらく半減だろう。
なぜなら、前作でわからなかったことが、ここで開くのだから。

訳も非常に読みやすい。
やたらめったら漢字にするのではなく、ひらがなに随所で開いてくれていて突っかかりがない。
前作でお馴染みのもの、お馴染みの生き物、お馴染みの現象が出てくるのでここも懐かしい。
大きく前作と違うのは、この地球に非常に良く似た星に、「人間が住んでいる」ということだ。
プリミティブな生活をしている星の住民、そしてそこにテクノロジーを持っている人間が読ませるのだ。

前作でもあったが、冬(普通の冬ではなく氷河期のような冬らしい)をとても恐れている星の人々がいて、罵倒の言葉も氷や雪に関した言葉にすらなっているくらいだ。
その冬を目前にして、とうとう食べ物がなくなってくる星の人達・・・。
村長の甥のハーディが、伝説のブラウンアイズと同じ目をした少女チャームと出会う。
ここから、ロミオとジュリエットのような違った村同士の(お互い馬鹿にしている)二人の少年少女の恋愛話と、ある人間が殺された殺人事件の真相と言う、推理小説の話の二つが大きく出てくるのだ。

更に面白いのは、記憶の話だ。
記憶が連綿とつながっていて、その記憶は代々伝わっていく。
そして自分がその記憶の中をたどっていって、過去の記憶を自分のものにしていくのだ、男子は男性の記憶を、女子は女性の記憶を。
そして、多くの星の住人は、子供時代に親と離され、男の住居区域と女の住居区域に分かれさせられる。
結婚と言う同じ男女がずうっと一緒にいるという形はほぼ全員が取っていない。

記憶をさかのぼっていく場面がとても読ませたのと、不思議な胎内に入って飲み物を飲むというのが印象的だった。
なぜ、殺された人は殺されたのか、そして犯人は誰だったのか。
このあたりの推理的要素も、この特異な環境ならではのもので、わくわくしたのだった。