二日酔い主義傑作選 銀座の花売り娘 (文春文庫)二日酔い主義傑作選 銀座の花売り娘 (文春文庫)
(2014/09/02)
伊集院 静

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評価 4.8


伊集院静の文春のこのシリーズ、読破したいと思いつつまだ途中までしかいっていない。
そんな折、傑作選が出たので読んでみた。
帯にもあるとおり、飲む、打つ、書く、の三拍子揃ったエッセイだ。
1988年から1994年までが書かれているので、どちらかと言うと若き日々の出来事で、激変の年を過ごしてきた作家の言葉が紡がれている。

率直な、とまず思った。
その折々の自分の気持ちを正直に描き出している。
酒に溺れる姿、二日酔いでどうしようもない姿、ギャンブルに走りまくる姿、借金をする姿。
それは一種自虐的でもあるが、遠くで自分を見下ろしているもう一つの目、があるのだと思う。

弟さんの死の話は何度か別の本でも読んでいるのだが、何度読んでも痛切な話だ。
もし弟がこの時期にこういう亡くなり方をしたら、自分がもっとこうしてあげればよかったのに、という後悔が残るだろう、伊集院静が実に鮮やかにキャッチボールのボールが強かったと自嘲しているように。

とてつもない悲しみを内包しながら無頼派というにはあまりに哀しい道を粛々と歩いていく伊集院静。
そんな姿が目に浮かんだ。