あいにくの雨で (集英社文庫)あいにくの雨で (集英社文庫)
(2014/06/25)
麻耶 雄嵩

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評価 4.5

読みにくかったのだが、面白かった、そんな奇妙な小説。
ラストに至るところがとても驚いたのだった、全てが解決したと思ったら・・・・・。

まずこのミステリは、二つの部分に分かれる。
塔と呼ばれている廃墟で起こった過去の殺人事件と現在の殺人事件。
どちらも高校生祐今(うこん)の関係者だった。
親友の烏兎(うと)と、獅子丸(ししまる)が祐今のために犯人探しを始める。
これが一つの部分。
もう一つは、生徒会での権力闘争の話だ。
ここにも内部で捜査する秘密の人達が烏兎と獅子丸であった・・・
秘密の捜査が始まり、反対勢力の画策を暴いていく・・・・・


全く救いがないと言っていい青春小説だ。
外側は、高校生の日常物語にもかかわらず、そして単純にその中で起こった殺人事件を追っていたら、と言う話ではないのだ。
トリックとかも面白いし、最後のひっくり返しも面白い。

読みにくかったのは、そもそも人の名前があまりに特殊すぎて覚えづらい。
覚えづらいと言うより読みにくい。
また生徒会のあれこれ(スパイ活動、それに伴う粛清のようなもの、駆け引き、探りあい)は荒唐無稽だ、こんなことがありえる世界があるはずもないし、こんな生徒会で揉めて勢力闘争のようなことが行われているわけもない。
でもこれが麻耶流であり、彼の独特の世界が広がっているのだ。
もう「この世界はありますよ!」という前提で話は進んでいくのだ。

非常なある男の姿が目に浮かぶ。
容赦ないという言葉はこの男にも向けられるが、作者もまた容赦がないのだ、登場人部に対して。

以下ネタバレ
・獅子丸が犯人であった。
その前に先生が犯人だったと言う一応の決着(と論理)を見ているだけに驚いた。

8年前の祐今の母親殺しは、そのあといなくなった祐今の父親、と思われていたのだが、
8年後に現れた父親は、塔でまた殺される。

最初の母親殺しは獅子丸の父親。
次の父親殺しは事故であった、ただそのあとに密室に見せかけようと画策はした。
祐今を育ててくれた祖父を殺しのは獅子丸。
獅子丸と祐今は異母兄弟であった。