いなくなれ、群青 (新潮文庫)いなくなれ、群青 (新潮文庫)
(2014/08/28)
河野 裕

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評価 4.3

私が呼ばれてないパーティーに足を踏み入れたような気になった。
きっとこの小説に呼ばれてないのだろう。
好みが分かれる小説、だろう。
とはいうものの、設定とラストの開き方は非常に面白い、と思った。

設定は素晴らしく面白い。
映画のCUBEのように、海外ドラマのLOSTのように、漫画の7SEEDSのように、また辻村深月の冷たい校舎の時は止まるのように、彩坂美月の文化祭の夢に、おちるのように、
「全くわからないのに、ある日突然別の場所に人々が集結させられ、閉じ込められ、そこに来た意味もわからなければ、なぜこの人達がチョイスされているのかもわからない」
と言った設定だ。
でも多くの既存の映画やらドラマやらと大きく違うのは、もうこの生活がサバイバルは必要としていないのだ。
つまりは住む場所は、学生だったら寮に住む事ができて、衣食住はとりあえず確保されている。
それどころか平然と学校で授業を受けたりする。
ちょっとずつ奇妙な同級生に囲まれながら。
ちょっとずつ奇妙な島の人達に囲まれながら。
このあたり、ネットは繫がるのにこちらからは発信できない、物は外から来るのに(船で)船には乗って出ることはできない、と色々な島の制約が次々と出てくる。
そして何よりも、誰も逃げようとしていないのだ、多少は疑問に思いながらも。
それを淡々と受け入れている、ある少女が来るまでは。

階段島という島があり、突然そこに投げ込まれた男子生徒がいる。
その生活を受け入れざるを得ないのだが、そこにかつて同級生だった女の子がまた投げ込まれる。
ここに来るまでの記憶がなく、なぜかもわからないのだが、誰も触れようとしないそのことに女の子は触れて追求しようとする。
階段の上に魔女がいると言われているが、魔女はいるのか。
なぜ自分達は誰かに「捨てられた」と言われているのか。
なぜある一定以上の年齢の人が来るはずなのに突然大地という幼い小学生が来たのか。


まず、主人公のモノローグがなんとも自分を見つめ過ぎ自省的過ぎ、ネガティブで読んでいて辛い気持ちになってくる。
加えて、校舎の屋上にいるあだ名のついた男子生徒も、あいたたた・・・という思いになってくる。
更にしゃべれない女子生徒・・・
なんでここはこんなのばかり集まっているのだろう(というのはラストわかるので、一種驚きだからなのかとは思ったものの、読んでいる辛さには変わりがない)
またこの小説全体にはびこっている比喩は、村上春樹なんだろうか・・・・

以下ネタバレ
この島は、

誰かに捨てられたの人達の集まりではなく
「自分自身」に捨てられた自分の一部の集まりであった。