今だけのあの子 (ミステリ・フロンティア)今だけのあの子 (ミステリ・フロンティア)
(2014/07/30)
芦沢 央

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評価 4.4

人の心理描写が細かく描かれていると言う意味では、好感が持てる。
そこから何か意外な結末を出そうとしているミステリ連作集だ。

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たとえば一番最初の話届かない招待状は、学生時代の親友と思っていた子の結婚式の招待状が届かなかった。
他の子たちは届いていると思い込んでいるので、誘ってくる。
その届かなかった理由を色々考えて見るのだが、一つだけ思い当たった会話がある・・・
この話は、ラストで、なぜかというのが開いていくのだが、途中でやや真相がわかるかなあ・・・というミステリだった。

帰らない理由は突然の死を迎えた同級生の部屋に偶然一緒になった男女の友人がいる。
かたや、自分が恋人になったという男の子で
かたや、喧嘩をしていたはずの女の子で
二人が思惑を持ちにらみ合っている様子が伝わってくる。
これもまた、、女の子が何を死んだこの部屋でしようとしたか(同人誌系の本を見つからないように取って欲しいと頼まれていた)が、わかるようでわからない。きっとこの関係の人だとおおいにわかるのだろうが。

答えない子どもは、きちんとした奥さんが子供をきちんと育てようとしていて子供も期待に沿っているのだが、ある時にそれとは真逆のだらしない奥さんとめぐり合う。
これもまた、なんだか後半が見えるのだ。

願わない少女、は、さして漫画好きではない少女が、漫画でデビューしたいと思った少女に引きずられるようにして漫画を模写して何とかついていこうとする話だ。
この話が一番面白かった。
冒頭のところが引っ掛けになっていて、しかもあるトリックがある→(名前トリック、悠子だから当然ゆうこ、だとおもって、ということは最初の園田ユウが悠子だと錯覚させる)
意外性という意味ではこれが一番読ませた。


正しくない言葉、は、老人施設に入居しているお婆さんが、嫁の持ってきたお菓子を食べずに捨てたのでおおいに嫁が傷ついたが、同じ施設に入居している友達が真相を見抜いたと言う話。
これは、宗教が絡んできて捨てた動機がわかりにくい。


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全体に読ませるのだが、後半になるとなんとなく減速していくような気がした。
謎の開きのあとのもう一つのツイストが是非欲しい。
繫がり方に趣向が凝らされていてそこはとても面白いと思った。

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話の繫がり(ややネタバレあり)
・届かない招待状
自動車事故を起こした人が自分のお父さんであった。
・帰らない理由
第一話の前の話。
事故を起こされた側の話。
これで死亡したのがくるみという学生。
この部屋に須山という男の子がいる。
園田ユウの漫画が出てくる
・答えない子ども
この神経質な奥さんの旦那さんが、須山。
・願わない少女
漫画家園田ユウの話。
・正しくない言葉
第二話から時がたった話。
自動車事故で亡くなったくるみの祖母の話。