2014.10.25 山女日記
山女日記山女日記
(2014/07/10)
湊 かなえ

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評価 4.2

期せずして、山の小説ということで、北村薫の「八月の六日間」を思ったりする。
北村薫の小説が苦もあるがほのぼのとしていてどちらかと言うと明の山の小説とすればこちらは暗の部類だろう。
何しろ出てくる人出てくる人、(何でこの発想をするんだろう?)と思うくらいにひねくれている。
ひねくれているのは勝手なのだがそれが理不尽な(と思える)人への攻撃の気持ちになっているところが何しろ読んでいて印象が良くない。
一緒にどん底の負の感情に持っていかれそうだ、ただそれが強烈なものかというと感情の流れなのでだらっとした負の感情だった。
そもそも山に行くのにこんな色々なものを背負っていくのか。
そして山でこんなに物を考えるのか、考えようとするのか。
そしてこれら全てが「ミニ毒」なのだ、だから湊かなえの猛烈な毒を期待しているとちょっと物足りないなあと思ってしまう。

最初の話は、不倫をしている気の合わない同僚と一緒に山登りをしようと思っている結婚間近の女性、と言う設定だ。
不倫を責め立てる気持ちが語り手の側の前面にあるのでなんともここが居心地が悪い。
自分が絶対に正しいと思っている女性・・・って何だろう。
これが段々山の中で変わってくる、というところがメーンなのだろうが(後半の小説でこの二人ちゃっかり仲良くなっているし)、この綿々とした暗い発想のようなものについていけなかった。
他にもバブルの派手な女性と思われている人が思わぬところで男性と知り合い山に登る話、途中でお荷物になりそうな二人組と知り合いやむなく一緒に登る話、仲の悪い姉妹で立場も違う二人が一緒に登る話、富士山を望んでいる女性が、金時山に自分の彼と登る話、などがあった。

最後のニュージーランドの話は時制が色々に変わるので、読み手はちょっと戸惑うが、話としては面白い。
どうしても結婚できなかった吉田君。畳のような大きさの吉田君。
ちょっとした心のずれが決定的になると言う部分がよく描けていてラストも良かったように思った。

だけどいい話なんて望んでない、湊かなえに。
もっと毒を!!