2014.11.11 悪童日記
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
(2001/05)
アゴタ クリストフ

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評価 5(飛びぬけ)

何度目だろう、読み返したのは。
今回、映画を見たので、もう一度読み直してみた。
映画も非常によく出来ていた、あの双子を探し出したところでこの映画の出来が決まっただろうなあと思った。

この本、細かい章に分かれていて文章も非常に短い。
その短い中で、母親に祖母のところに疎開させられた双子の日常というのが淡々と描かれている。
淡々となのだが、内容はかなりひどいものだ。
愛情のない祖母の下で肉体労働をさせられる双子、
爆弾を逃亡兵から盗む双子、
近所の女の人と知り合いになり三人で踊りを踊ってお金を稼ぐ双子、
二人で強くなろうとお互いをたたきあう双子、
司祭を恐喝する双子、
爆発を試みた双子、
きわめてゲイの匂いがするドイツ人将校(はっきりとは国は書いていないのだが)にほのめかされる双子、
どこでもかしこでも殴られる双子、
そしてようやく迎えに来た母は赤ちゃんを抱いていて、そのあとの衝撃に耐える双子、
父も戻ってきたのだが、母のことのショックから逃亡し、再び戻ってきたときにあることをしてくれるのをじいっと待つ双子。

戦争の悲惨さを具体的にではなく、文章から遠くで語ってくれている。
それなのにこの力強さはどういうことだろう。

この本、最初に読んだときには作者のプロフィールを全く知らなかったがそれはそれなりに衝撃だった。
最後の解説を読んでなるほどなあ・・・と浅く思っていたのだった。
その後、同作者の文盲を読んで、この悲惨な状況下から言語を新たに獲得し作品が生まれた、というのを改めてこの作品に感じ入ったのだった。