処刑までの十章処刑までの十章
(2014/10/09)
連城 三紀彦

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評価 4.2

申し訳ないのだが・・・・
連城三紀彦全盛期を思った。
何度も思った。
これはこれで悪くはないのだが・・・・

自分の夫がいきなり普段と違うことをした朝があった。
その日突然奇妙な電話もあった、出社したはずの夫から。
そしてその日を境に夫は失踪する・・・


夫の弟、つまり義弟と妻は心惹かれている部分がある、特に義弟側からは。
音楽の仕事をしている義弟は、妻と一緒に夫探しの旅に行ったりもする。
蝶を愛していた夫の足跡を辿っていくと、蝶好きの女性と接点があることがわかる。
ところが・・・・

何度も何度も繰り返される蝶の鮮やかな場面。
そして揺らいでいく信頼関係。
記憶さえ曖昧になっていく・・・・(ここがかなり私には辛かった。全体の謎が多いだけに、記憶が曖昧になってくると混沌さが増して何がなにやらわからなくなってくる)
誰を信用したらいいのか読者も途中で混沌としてくる。

禁断の弟と兄嫁の関係のゆらぎ、
午前五時六十一分という特殊な時刻の書き方、
横領された会社のお金と謎の机の下の靴、
バス停で出会っている眉毛の白い男の出没、
四国で起こった火災とそこから逃げ出した女性、
旅館に泊まった二人連れ(といわれている)男女、
バラバラ死体、
弟の友達の新聞記者の男、
各地のお寺から届いた絵葉書とその意味。

・・・・
謎につぐ謎、があまりに多すぎて、途中のカタルシスというのが少ない気がした。
要素が詰まりすぎなのだ。
私はあるところでおおいに驚いたのだが、主人公の弟と一緒に。
そこであまりに驚いたせいか、あとが続かないのだ、気持ちとして。
話は非常に面白いのだが、ラストまでの一本の強い糸のようなものがないように思えた。
そして唐突に見えるラスト・・・