ずっとあなたが好きでしたずっとあなたが好きでした
(2014/10/14)
歌野 晶午

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評価 4.4

読んで、このタイトルを見てにんまりとするミステリだった。
それぞれ全く関係のない小さなミステリが語られている。
それは国内であったり国外であったりする。
幼い恋もあれば、大人の恋もあり、さらっとしている恋もあれば人生途上の恋もある。
最後謎が解けるものもあれば、ぶちっと終わっているものもある(πのハンドルの由来とかはぶちっと終わっている)
ラストに大きな仕掛けが待っている。
実はこの仕掛け、私は途中で見破ったのだが、なぜという部分が残っていたのだ。そしてわかっても尚楽しめたのだった。

この中で舞姫(これも鴎外の舞姫をモチーフとしている)が良かった。
フランス人の恋人を日本の家に連れてきてお母さんが一言はなった言葉、が予想できなかったのでとても面白かった、ミステリとして。
文章だとここはわからない。
勝手に自分の中でステレオタイプを想像している部分が多いんだな・・・と改めて思った。
フランス人、というくくりで、一般に「白人で金髪で」と言う人を思い浮かべていた。しかも金髪とあるし(ラストにナチュラルな黒髪としていたので、本来は黒髪というのがわかる)
が、最後のお母さんの言葉で「アフリカ人」というので、この人が黒人のフランス人ということがわかる。
考えてみれば、フランス人の黒人の割合って多いから、当然と言えば当然なのだが。


幻の女、も面白かった。
名作アイリッシュの幻の女、を地で行くような重要な人間になってくるきれいな女、そして自分のティッシュ配りに協力してくれた女。
彼女を追い求めているうちに思わぬ事件に巻き込まれる冴えない中年男・・・
ラストの意外性が胸を打つ。
やさしい美しい女、と思っていた女は、実は女装趣味の男であった。
そして部屋で死んでいたのは、その男、であって、
殺したのはその男の妻であった。


ただ全体に長いと思う。
一つ一つの短編がもうちょっと短かったらもっとラストのインパクトが大きくなったものを。

以下ネタバレ
・この話の全ての内容がラストから二番目の錦の袋はタイムカプセルに書かれている。
どの話も、同じ「弓木」くんだということも。かつてのミッキーだということも。
私はこの仕掛けには途中で気づいたものの、なぜ姓がこれだけ変わっているのか(ハンドルとか芸名とかそのあたりは別にして)というところがわからなかった。
母の繰り返しの離婚再婚と、自分の結婚なのか。と納得した。