2014.12.04 伶也と
伶也と伶也と
(2014/11/13)
椰月 美智子

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評価 4.7

冒頭でこの二人がどうなるかというのは見えている。
そこに至るまでの二人の軌跡が描かれているのだ。
二人とは、あるバンドの人気ボーカルとそのファンの女性と言う組み合わせだ。

ファンと言うのはいったい何なんだろう。
それを突き詰めた小説がこれだ。
歌を聴く、演技を見る、そのコンサートに行く、舞台に行く。
もっともっとその人のことが知りたくなる。
ネットで調べる、次の公演情報を知る、人によってはファンクラブに入る・・・・・
そしてここから二手に分かれていくと思う。

絶対にその相手のタレントに自分を認識してもらいたい人と
そうでもない人と。

また、こういうことも言えると思う。
その相手のタレントと個人的接触を望む人と
望まない人と。

・・・
この差ってどこから来るのだろう。
そしてもしタレントが落ち目になった時にはさくっと離れていくのだろうか。
あれだけいたファンはどこにいったのか、というのは色々な場面でよく見受けられる。
そのあたりが、伶也とには嫌と言うほど出てくる。
男と別れ、職場を変えそこでは一応一目置かれるまでの存在になりつつある直子。
友達に偶然連れられていったライブで彼女は伶也の大ファンになるのだ。
彼女は伶也と個人的接触を持つ、彼の言葉の一つ一つに一喜一憂しながら。

直子の見たものというのは、何だったんだろう。
直子が落ちたものと言うのは、相手がタレントというのが特殊なだけで、一つの恋だったのではないだろうか、それも一生に一回だけ訪れる恋。
そして伶也が結婚したと言うショッキングな出来事でも直子は離れようとしない。
いつしか伶也の人生の浮き沈みに自分がリンクして行って巻き込まれていく。
その姿が痛々しい(イタイのではなく)。
直子の胸の内が鬼気迫るようなものになってくるのだ。
ファンと言うところから逸脱して、マネージャーのようなお母さんのような存在になって行く直子。
しかも伶也は全く直子に触れようとしない、それでも直子は彼についていく・・・・

読んでいて非常に辛かった。
辛いが、直子の気持ちが全くわからない、と切り捨てることも出来なかったのだ、私は。