女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1987/09)
P.D.ジェイムズ

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評価 5

初めて読んでみた。

何度も何度も挫折したミステリだ。
なんでこんなに挫折するんだろう・・・・と思いつつ、チャレンジしてみたら・・・・
自分がなぜ挫折したか、なぜ行き着かなかったのかラストまで、というのがわかった気がした。
これ、ミステリなのだが、ミステリと思って読むと違うのだ。
普通の小説と思って読んでみると味わい深い。
たまたま死んだ人がいて(失礼だが死人には)たまたまそれを依頼された若い女性探偵がいて、たまたま若い女性探偵はその死んだ人の住んでいた家に住むことになり、あれこれ探していると真犯人に行き着くのだが・・・

その真犯人が面白い!!この人だったのか!!というわけではない。
そこは微妙に面白くないかも・・・なのだが、この綿密な描写が目に浮かぶようでそこが普通の精緻な小説のようで読ませるのだ。
冒頭で、まず相棒だった(上司だが)男性が自殺しているというショッキングな出来事が起こる。
いきなり自殺だ、そしてその探偵事務所をたった一人でしょって立つ若い美人探偵コーデリアがけなげ過ぎる。

豪壮な建物の描写、死んだ息子の真実を知りたいと思っている父親とのやり取り、そして息子のケンブリッジの友人達との船下りの一幕(ここが大変美しい、そして孤児だったコーデリアが父親さえ出てこなければ手に入れられたかもしれない場所、と思うとますます哀愁が募って美しく見える)、息子の住んでいた離れのような家の描写、問題の井戸、木陰に隠したミニクーパーの車、こうしたすべてのものが愛おしく見える。

そしてなんといっても、この話、真犯人がわかった時、で終わる話ではないのだ。
そのあと、文句を言う人が出そうなことが色々とある。
けれど、ここは物語の世界、静かに浸りたい。
更に、コーデリアのある場面で心をわしづかみにされるのだった。

以下ネタバレ
・息子を殺したのは依頼人の父親。
息子は父親と奥さんとの間の子供ではなかった。
父親と秘書との間の子供だった。

父親と奥さんとの間の子供ではない、ということを息子は、母が残してくれた祈祷書の書き込みから知る(コーデリアもここから気づく)
女装させた屈辱の格好で見つけさせようとしたのは非人道的な父親(なぜなら奥さんの遺産が自分に入らなくなるから。もし息子が拒絶するようになるとすると)

・父親の秘書が父親の独白を聞いて、父親を殺してしまう。
それをコーデリアは自殺と偽装する。

そこを見破ったのがダルグリッシュ警視だった。
(のちに秘書は自殺と思える自動車事故で死亡)

ダルグリッシュ警視は、コーデリアの事務所の先輩の元上司だった。
そしてコーデリアは感情を爆発させ、彼をなじるのだった。(ここがとても感動的)