2015.01.14 家族シアター
家族シアター家族シアター
(2014/10/21)
辻村 深月

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評価 4.9

家族の話って難しい、と思う、案外。
なぜなら星の数ほど家族があり、家族のありようというのはそれぞれ違っていて、しかも形態も違っていて。
その中で大多数の家族のことを書こうと思えば、それだけの話になってしまうし、ある特殊な家族を書こうと思えばそれは特殊なことなんだなというフィルターをかけて読者は読むだろうし。

この作品、そういう意味で、どうなんだろう・・と思いつつ読んだが、これが良かったのだ。
これと同じことは私にはなかった。
なかったのに、あったと思わせてしまう、またはとても似たことがあったと思ってしまうそういう技量があった。
色々な形の家族のやり取りがある。
それは、いつも出来がいい姉との葛藤があった姉妹の物語であったり、離れて住んでいて一緒に住むことになったのだがなかなか打ち解けない祖父と孫娘の話であったり、オタク気質の姉弟のお互いを見ている目の話であったり、母と出来のよすぎる娘の間の出来事の話であったり、形を変えてさまざまなことを私に訴えかけてくれた。

読んでいて途中でわっと泣きたくなったのが、タイムカプセルの八年、だった。
大学の先生の父親が、小学校教師になった息子を送り出す場面から始まる。
わかりあえなあかった、と思っている父、けれど息子の小学校時代のオヤジの会に嫌々参加したことから、タイムカプセルの話が漏れ伝わってくる。
この話、いい教師とは何か、という深い問題も孕んでいてとてもいい作品だった。