2015.02.17 禁忌
禁忌禁忌
(2015/01/10)
フェルディナント・フォン・シーラッハ

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評価 4.9

読みやすいが非常に話が難解だ。
いや、話はわかりやすいのだが、言っていることを把握ということでは難解の部類に入ると言えよう。
観念的な話だからだ。
文章は相変らず短いセンテンスで語られていく、無駄な装飾の言葉は一切ない。
読んでいて、詩を読んでいる気すらしてきたのだった。

冒頭から写真の話で引きずり込まれる。
そして文字に色を感じる共感覚を持ったドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルクが登場する。
エッシュブルクの屈折した幼少時代、そして自殺した彼の父親を発見するところ、など衝撃的なシーンが前半を埋め尽くす。
これで彼が心に傷を負ったというのは容易に推測できる。

彼が写真と言う方向に向かい、そこで大成功をおさめるのだが、若い女性誘拐の容疑で逮捕されるところまでが、淡々と描かれている。
後半の主人公は、彼を弁護するビーグラー弁護士に移って行く。

・・・
この物語、ソフィアと言う女性とエッシュブルクと出会い、かけがえのない人間になっていく様もまた描写されている。
安穏とした生活が出来ないエッシュブルクにとってひと時の安らぎとなりえたソフィアとの邂逅は大きい。
描写として巧みだと思ったのはぽつっと
「いつか彼女を傷つけそうだ。それだけはわかった。」
と書かれており、
更に展覧会のあと、ソフィアと橋のところで会いエッシュブルク自身がナイフを持ち出し彼女を怯えさせ、
そして彼女が立ち去った後に手の甲に刺し
「私も自分が怖い」
と、言っているところだ。
どうしたってこれでエッシュブルクが非常に精神的に危険な状態にあり、ソフィアがその標的になっているのかと思わせる部分だ。

後半思いもかけない人物を弁護士とソフィアが見つけ出す。


以下ネタバレ
エッシュブルクには異母妹がいて、この子が展覧会で話しかけてきた子。
この子を殺したかと一瞬思われるが、生きている。
そして芸術のために異母兄になんでもすると約束したとおり殺人を偽装までするのだった。