プリムローズ・レーンの男〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)プリムローズ・レーンの男〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
(2014/10)
ジェイムズ レナー

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プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)
(2014/10/10)
ジェイムズ レナー

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評価 5

読むのが止まらなくなるほど面白かった。
この本を読んだきっかけは、帯のジョナサン・キャロルの推薦文によるものだったが、キャロルの作風とは違う。
違うが、ある部分ではちょっと思い出す、そんな感じの小説だった。
しかしこの本。どうやって説明すればいいのだろう。
あるところで、え?となる。
こういう話だったのかと。
自分が思っていた話と全く違う方向に連れて行かれる快感、というのがある。
何度かこの本の中でも言及されている他の作家達の作品も思い出す部分が大いに大いにある(キャロルではなく)。
でもそれはそれとして、この作品そのものが弾んでいるように楽しかった。
読んでいて、ある部分でむくっと体を起こしたくなるような部分がある。
そこで、え!と見ていた景色が全く変換する場所がある。
そこが、驚きの場所だった。
全体をスリラーと位置づけるのは間違っているかもしれないが、一種スリラーの部分もあるのだ。
版元は、「ジャンル・ツイスティング・ミステリ」として宣伝しているらしい。

冒頭がまず魅力的だ。
オハイオ州の田舎町での出来事。
ある世捨て人の男が殺される。
なぜかいつもミトンを手にはめている。
それはそれはすごい数のミトンがあったことをあとから警察が発見するくらいだ。
人と出会わず静かに暮らしていた世捨て人は一体何者だったのだろう。
しかも殺された横には全ての指がミキサーで粉々になっていた・・・

ここまでで、絶対にこの男は指紋を残したくなく、ということは、何かの犯罪に関わっていたのでそこから足がつくのを恐れていたか、またはやはり何かの犯罪にかかっていたが抜けたので誰かに追われいてたか、というようなことを誰しも想像すると思う。
更に捜査が進んでいくうちに、この男が「ある一人の女性ケイティー・キーナン」をストーカーしていた、というところまでわかってくる。
これは、ストーカーの物語か、とここでは思うだろう。
こいつは猟奇殺人者であり、少女は一体どこに行ったのか、というところまで考えるだろう。

またこれとはまったく別の話で、この話を追うことになったのが、
かつてのベストセラーを出し続けていたノンフィクション作家デイヴィッドだった。
彼の愛妻が死んでから腑抜け状態になったデイヴィッドが調査に乗り出す。
愛妻の過去、そしてなぜかこのプリムローズレーンの男、と名づけられた男との妻との関係が浮かび上がってくる。
そうこうしている内に、デイヴィッドは殺人事件の容疑者としてマークされるようになってきた・・・・


デイヴィッドの調査中に不可思議な出来事が起こってくるのだ。
ストーカーされていたケイティーに会ってみると不思議なほど自分の死んだ愛妻に似ている。
そして彼女もまた、愛妻が語った過去と同じような体験を持っていた。
一体これは何なのだ!
愛妻の不思議な過去をもまたここで語られる。
それもフラッシュバックのように、過去が語られていくのだ。
幼い時の誘拐事件の顛末が痛ましいし、そこでの謎もある(そしてケイティーの話とも重なる)
一体これは何なのだ!

更にプリムローズレーンの男の家から亡き愛妻の指紋が・・
一体これは何なのだ!
デイヴィッドが何に巻き込まれたのか、そこがデイヴィッドと一緒に読者もわからない。
ただただ右往左往していくデイヴィッドの待ち受ける先にあったものは・・・・



ただただの驚愕であった、私にとって。

以下ネタバレ
途中でこれ、タイムトラベルの話となっていく。
過去の死んだ女性を何とか助けたいと言う思いのあらゆる時代のデイヴィッドがいる。


タイムトラベルというのが出た時点で、やや、だがこの話の魅力が薄らいだ、私の中で。
これがあったらなんでもできるぞと。
超常現象っぽいこと、もっと不可思議なことを想像していたから。
が、後半の第三部の活劇は素晴らしくまたここで一気に盛り上がったのだった。