2015.02.17 復讐法廷
復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2009/09/10)
ヘンリー・デンカー

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評価 4.8

日本のテレビドラマでこれを「モチーフ」として使った作品が放映されてそれを見たので、原作を読んでみた。

レイプされた娘の復讐のため、前の裁判で無罪になった犯人を父親自らが射殺する。
父親は自分が有罪になることは百も承知だ。
けれど、娘を無惨な姿で奪われ、そして心労で亡くなった妻への思いから決行されたのだった。


ドラマでは「レイプされ殺された娘」への父親のやるせない気持ちと慟哭というのに焦点が当てられている。
いわば情の部分に重きが置かれていたのだった。
が、この原作を読んで、この話そういう話でもあるけれど、主眼はそこではなく、法廷の丁々発止のやり取りの部分だというのがよくわかったのだった。
情、の部分は非常に少ないのだ。

あともう一つは、前の裁判でレイプ犯人が無罪を勝ち取ってしまう。
それに憤激した娘の父親が犯人を射殺してしまう、というところから物語は始まる。
だから前の裁判というのがとても重要なのだ、なぜ無罪になってしまったのか。
そして、ここはドラマでもあったのだが、ドラマでは比較的小さな扱いだった。
しかし原作ではこここそが、大きなところで、つまり
「前の間違った裁判の裁判官を、父親が犯人になったこの裁判に証人として引きずり出す」
という前代未聞の離れ業がなされるのだ。
ここがとても素晴らしい場面だ。

信念に燃えている若き弁護士ゴードンの奮闘振りが読んでいてまことにすかっとする。
陪審員達も苦悩する。
加えて、日本にはないことだが、ここに人種、立場の違う陪審員達の姿もまたあぶりだされるのだ。

法とは何か。
正義とは何か。
そして裁判とは何か。
その全てを深く深く私達に問いかけてくれるリーガルサスペンスだった。