評価 5

この話、途中にも実際にキングも出しているけれど、シャーリー・ジャクスンの丘の屋敷とかの系列だ。
ちょっと人里はなれたところの幽霊屋敷物語。

おかしいおかしいと思いつつ引っ越してきてやむなく巻き込まれる一家がいる。
超能力を持っている(この中ではかがやきと呼ばれる、もう一つの世界がくっきりと見える子供)ダニーがまことに利発で可愛らしい。
この管理を任されるにあたってまでの経緯で、どうやらこのお父さんは仕様もない奴だ、というのは前半部分でよくわかる。
お母さんもそれは承知なのだが、彼女もまたお父さんと別れがたい気持ちもまだ残っているのだ。
お父さんが、どうして大学の職を失うことになったのか、どうしてお母さんの心がそこまで離れているのか。
このあたりが細かく描かれていて、そこが非常に好感が持てる物語だった。

ホラー部分を取り上げれば、
スズメバチの来襲(最初にスズメバチに出会ったお父さんの頭の中の様子というのが面白い。そのあとの巣の扱いもまた)、動く動物型の生垣、血まみれの壁、がやがやしている酒場(仮装パーティーが向こうの世界では行われている)、浴槽に沈んだ太った女性の死体、とてんこ盛りに怖いものが小出しにされていく。
でもホラー部分よりも、私は、この一家の成り立ちとか、それぞれの家庭環境とか、そのあたりに心惹かれたのだった。

恐怖、憎しみ、人への差別、罵倒、そういう黒い気持ちが渦巻いていく様子が、惨劇へと変わっていくあたりがただただ怖い場面を読ませるホラーよりも読ませるのだった。

ホテルを受け継ぐ時に、ダニーはとても重要な人間と出会う。
一瞬にして分かり合えた二人がいる、人種も年齢も超えて。
彼が最後の方に役割を果たすところもまた圧巻であった。