2015.05.14 日時計


評価 5

なんだか古きよき時代のミステリ、と言った感じだった。
読み心地としては、ネビル・シュートのパイド・パイパーあたりを思い出す(これも背景が第二次世界大戦中であり緊迫しているはずなのにスイスからイギリスまで老紳士と二人の子供が行く話で、ほのぼのとしている)
だって、この話、そもそもが子供(しかも3歳の女子)が誘拐されていて、それを頼まれていると言う話だ。
本来なら血眼、決死の勢い、全員腹をくくるといった具合の重い色調になっても不思議はない物語だ。

でもこのミステリは違う。
探しに行っても探偵役はさくさくとは探さない。
そこでお茶を飲んだり食事をゆったりしたりしていて(おいおいおいおい!誘拐は!一刻を争うものなんじゃないのか!)と何度突っ込みたくなったことだろう。
しかも、三人いるのだが、夫婦に夫の親友がいて、夫の親友が誘拐されている場所を特定したのはいいが、そこで恋仲になるというおまけつきだ(ここもおおいに、恋愛している場合じゃないだろう!!と突っ込んでいた)

この話、一種の冒険物語だが、ゆるい。
ゆるいけれどそのゆるさがいい。
あと、日時計、の意味は冒頭にすぐに出てくるが誘拐された女の子の数枚の写真から、女の子が日時計になりそこから場所を特定する(日の長さやら拡大写真やらで)という、この人間日時計の発明が面白さを際立たせてる。
人物では奥さんジョウンがとっても好き。
闊達で明るくて、旦那さんと一緒に謎を解いていこうと意気込んでいるものの、泥酔の仲間が嫌いというのも奥さんとしては当然だろう。
ぷんぷんするところも可愛らしいし、でもちゃんと働きもするし、大活躍のジョウンだ。