評価 4.2

三人のそれぞれの生活が出てきて、三人の繋がりが最後に見えてくる。
この中で、二人は母と子なので、すぐに関係がわかる。
でももう一人の男性、アンドレアスという人はどういう繋がりかずうっとわからない。
何しろタイトルがバタフライ・エフェクトなので、何かどこかでやらかしたことが繫がってるんだろうなあ・・・と思ってはいたのだが・・・・

・難病で55歳の命を終えようとしているボーディル。
彼女がずうっと苦しめられていた夫と決別し新たな人生を描こうとしている、残り少ない時間で。
その大きな目的は、「うまくいかない娘」との関係修復であった。
・そして娘の方ヴィクトリアは、精神科に通っている、彼女は彼女で心に傷を負っているのだ、なぜ自分の家が父が独善的であり、母がそれに従っているような通常と違う家庭だったかという意味がわからない、いまだに。
・そして、仕事も家庭も全てうまく行っているように見えたアンドレアスと言う男がいる。
彼はあることで、精神の均衡を失うのだが、それを妻にも打ち明けられない。
仕事に出た振りをして、内面に閉じこもっているだけだ。


三人とも精神的に追い詰められている、というのが読んでいて大変辛かった。
特にアンドレアスの後半部分は、かなり辛い、こうして心を失っていくのだなと。
いわば、ドミノ倒しのように一つ悪くなればどんどん悪くなる、というのを実感している三人とも言えよう。

ボーディルの過去のある時点での決断が大きくみんなの運命を左右する。
でもその時点ってどこなんだろう、とちょっと考える。
付き合った時点か、同棲か、それとも好きだった男と付き合ってはいけないと言われた時点か、だんなの母親が口を出してきた時点か。
多分彼女は、考古学の先生に次の場所で助手になってくれないかという時点を後悔しているのかもしれない。
でもそうすると、子供は生まれなくなる(子供がおなかにいたのでやむなくやめた)
全員にボーディルが絡んでいるのが後半で出てくる。

この話、わかるのだが(バタフライ・エフェクトの意味も含めて)、こういうのを言い出したら、全員そうなのではないか。
そのあたりがすかっとしない。
もう絶対にこれがドミノ倒しの最初だよ、というところがボーディルではあるのだが、すとんと落ちないのだ。
特にアンドレアスとのことがもうちょっと違う驚きを私は待っていた。

以下ネタバレ
・ボーディルが学生時代に決めた夫はモラルハラスメントの極地のような男だった。
ボーディルの当時の別の相棒ともいえる男性との接触すら拒むようになっていたのだ。
でも最初はボーディルもこれに甘んじている。
が、後に異常だ、母親に依存しすぎ、自分をないがしろにする、というのに気づいてはいた。
そんな時、ボーディルの妹が死んで5歳の甥が残される。

彼を引き取るのだが、やはり夫にこの事で何度も嫌がらせを受け、結局は手放すことになった。
そのあと生まれた自分の子供ヴィクトリアとは微妙な関係しか築けなくなった。

・ヴィクトリアは、そういう家庭で過ごす。
しかし自分の前に甥がいたと言う事実は全く知らない。
それどころか、親戚がいたと言うことすら知らない。
けれど、それが後半でわかって、訪ねていくのだが。

まず5歳の甥は大きくなって自動車事故で死んでいた。
彼の妻が言うには、誰も信じられない人間に育ったという(ボーディルが手放したことが影響している)
転々と家庭を回されたらしい(ボーディルが手放してから)
どうしようもない人間に育って、子供を作り死んでいったらしい。
その甥の子供がいるのだが、子供は青年となり貴金属店に押し入って警察に捕まっている。

・貴金属店で出会ったのがアンドレアス。
彼は普通の市民生活をしていたが、貴金属店の襲撃時点に偶然居合わす。
銃を見て大変驚く(実は銃はエアガンで実弾はなかったというのが、ヴィクトリアの訪ねた家での話からわかる)
そこで失禁するという惨事を経て、精神がおかしくなる(だからボーディルがまず旦那と結婚せず、甥を手放さなければこの事件は起こらなかった。)