評価 5

ぱらっと見る図鑑のようなものかなあ・・・と思ったのだが・・・
いやはや、ものすごく面白かった、写真もだけれど、添えられている文章が読んでいてわくわくする。
あまりの厚さとお値段に図書館で借りたのだが、この本、自分でも欲しい、と思ってしまった本だった。

古代エジプトのパピルスから電子書籍まで、と副題にあるがまさにその通りで、世界中の本の歴史を紐解いている。
それは面白い本とかそういう切り取り方ではなく、いかに本が出来てきたか、どういう本をどういう地域の人が作ってきたか、それによってどう歴史が変わってきたのか、宗教観は、印刷技術の向上で人々はどう変革してきたか、という実に多角的な見方なのだ。

最初の解剖図表集というのも面白いが(イスラム世界で何世紀にもわたって重要な医学研究が行われていたという事実にも驚愕し、この図にも感動)、初期のラスコー洞窟の絵から始まり、骨、竹、樹皮などに刻みつけている暦にも驚いた、しかもスマトラ!

謎のイソップ童話の話とか(世界各地に同種のものがある不思議)、最初の料理書とか、アイルランドの美しい写本はよくぞ残っていたとか(奇跡的らしい)。
そういうものの全てが面白かった。

しかしなんといってもグーテンベルクの発明は、革命的だったというのが、99ページに来るととてもわかるのだ。
しかもこんなに美しかったとは!
当時の粋を結集して並々ならぬ覚悟で、作ったのだ、というのが身にしみたのだった。


後半になると、文学史的な要素も話に加わってきてこれはこれで楽しい。
トリストラム・シャンディの成り立ちとその評判、ファニーヒルの販売広告の奇妙さ、など興味深い話がいっぱいだ。
興味深いと言えば、172ページの下の方に、ビュイックのイギリス鳥類誌の挿絵が、あのジェーン・エアが没頭したあの話だったとは!

後半にはボルヘスの八岐の園の本の書影とその解説があってこれまた読ませるのだった。