評価 4.4

原題はCreep、この話を体現している(曲のタイトルでもあるけれど)。
ジェットコースター小説だった・・・

シアトルの大学で心理学を教えるシーラ・タオ。
彼女は容姿端麗でキャリアも持った完璧ともいえる女性だった。
唯一つ、助手のイーサンという若い男性と関係を持ってしまうというミスがあったのだった。
投資銀行家のモリスと夢のような婚約をしたシーラは、イーサンとの情事を終わらそうとする。
しかしイーサンはそれを唯々諾々とは認めなかった・・・・


古典のミステリだと、「男性」側が上司の娘と夢のような結婚が決って、それまでのみすぼらしい女性を捨てる、というのが王道だけれど、このミステリは、逆だ。
女性の方が切り捨てようとする、あっさりと。
しかも仕事面でも女性の方が上なので、別の部署の移動まで元自分の男に告げるのだ。
そして男性の方がそれに執着すると言ういかにも現代的な話だ。

この話、前半のある部分まで読むのにとても忍耐がいった。
というのも、しつこく追いかけてきて、情事の場面のビデオをインターネットに流すと脅迫するイーサンとか、変装してまで自分の相手シーラの婚約した男に近づこうとするイーサンとか、イーサンの女々しい気持ち悪い姿に辟易するからだ。
しかも、同じ大学でシーラの教え子のダイアナが水死体で発見されたという、いかにもイーサンがやりそうなことの情報もちらっと入ってくる。
イーサン、お前がやったんだろう!
そう心で思ってしまうので、もどかしくてならない、シーラがこんな男に脅迫され最高の婚約者モリスを失いかけていると言うことが。

・・・・
ところが、途中から一転する。
実は、シーラは、イーサンのことどころではないある問題を抱えていた。
このあたり読ませると思う、そして真実を知り衝撃を受けた婚約者モリスが離れていくとも思いきや・・・・
意外に動いてくれるモリスが頼もしい。
だけど、前半のモリスと後半のモリスと別人のように見えるのはなぜだろう、衝撃のあまり魅力が半減しているのか。

ただ・・・最後の真相にいたってはどうなのだろう。
やりすぎ、のような気もしないでもないが。
ハンニバルを明らかに連想させるけれど、それ以下でもなくそれ以上でもなく、といった感じが漂った。

以下ネタバレ
・シーラはそもそもセックス依存症だった。
依存症の会にも入っている。

・探偵の奥さんがシーラのセラピストって・・偶然ありすぎ感が・・・・

・イーサンが二回変装するのだが(モリスに近づくためと、シーラに近づくため)
怪人二十面相ではないのだから、なんだかこのあたり荒唐無稽っぽく思えた。
しかも後半は、黒人めいている方向って・・・

・イーサンが殺したのではなく
本当のサイコはイーサンの同居している彼女アビーだったという真相。