2015.06.20 悪魔の羽根


評価 4.7

相変らず非常によく出来ている、心理サスペンスとして。
設定が現代のある社会的な出来事も関連しているので鮮やかにその場面が浮かぶ。
そういう面でも読ませるのだ。

2002年シエラレオネで5人の女性が殺害されいて、元少年兵3人が起訴されている。
記者のコニーだけはイギリス人マッケンジーを疑っていた。
2年後バグダッドでマッケンジー(名前は変えていたが)を見かけたのだが、コニーは彼に拉致監禁されてしまう。
釈放されたのだが、彼女はほぼ無傷だったが警察にほぼ何も語らなかった。
彼女は何を隠蔽しているのか・・・・


コニーは解放されてから何者かにそして何事かに怯えている。
監禁者の再訪に怯えまくった挙句に、イギリスの静かな田舎村に逃げ込んでいるコニー。
ちょっとしたことで彼女の悪夢のような記憶がフラッシュバックする。
インターネットが繫がるかどうかぐらいの家で一人暮らしているコニー。
彼女は、村一番の変わり者と言われるジェスと言う女性と奇妙な友情をはぐくむ。
家に来て欲しいような来て欲しくないような微妙な感情が彼女に生まれる。
しかしジェスもまたある問題を抱えていた・・・


ジェスと言う女性も、マデリーンという美しい女性に翻弄されている人生だ。
これが後半になってコニーの問題と絡み合ってくる。
精緻な網の目のように張られた含みのある文章に酔わされる。
人物造型は素晴らしく、二人(コニーとジェス)の心理も炙り出されている、克明に。
そして途中で入り込む手紙、イーメールの数々がまた単調になりがちな物語を複層的にしている。
監禁されていた時のことを話さないのはなぜ?という問いはずうっと投げかけられている、読者に向かって。
そしてこのことが徐々に開いていくところも圧巻であった。
怯えて怯えて隠れている女性コニーから戦う女性コニーに実際に監禁者が現れた時にするりと変わる瞬間も読ませたのだった。
それがジェスとのかかわりの中で生まれてきたものなのだろう。

が一方で、ここからは全く私の好みだけれど、ジェスの方のいわゆる「閉鎖的な村の話」よりも、コニーの世界的な問題に発する拉致監禁の話の方がぐっと心に響いた。
ジェスの方の話に心があまり向かなかったと言うことだ、正直に言えば。
だから、コニーの話をもっともっと、と途中で思ってしまったのだった(最終局面でたっぷり出てくるのだが)
二つが交じり合って重層的な物語なんだろうか、これは。
水と油のような気がしないでもなかった。