評価 4.9

既読のものもたくさんあったけれど、サキ作品の中で私が好きなものがとても多く入っていて満足した一冊だった。

この中でアンソロジーに一番多く取り上げられている開いた窓はどこからどう見ても傑作だろう。
最初に「多少神経を病んだ男」が訪ねてくるという設定が後々になってきいてくる。
開いた窓を見てその家の子供が窓があいている理由をとうとうと説明していくくだりなど、何度読んでも感心する、ラストの一言に至るまで細部がよく描けている作品だと思う。

話し上手、は、汽車の中でうるさくてたまらない悪童達に教訓話をして全くうけないどころかもっとうるさくさせてしまう伯母さん、の代わりに、その子供達に辟易していた一人の若者がする話の、なんと陰惨で面白いことと言ったら!
こういう場面今でもありそうで、これまたうまい。

ネズミ、は、これまた列車内の話だ。
自分の洋服の中にネズミが入ってどうしようもないので、妙齢の女性の前でもぞもぞと脱ぐ。
そして毛布をかけているがそのうちに降りる駅が近づいてしまった・・・
この話はラストの落語のようなオチが素晴らしい。

夕暮れ、は、ベンチに座った一人の男性が、詐欺をしようとしたと思われた男性が語った話を嘘だと見破る。
見破るのだが、男性が語った中に、石鹸を買ったという話が1つあった。
それがベンチに転がっていて・・・
慌てて自分の非礼を謝る男とそのお金を受け取ろうとする男。
どちらも慌てている姿が忘れられない、最後の衝撃的なオチとともに。

トバモリーもアンソロジーによく取り上げられている作品だ。
猫がしゃべる、という奇跡が行われ、その猫があちこちで見聞きしたことをズバッと話し始め、列席者の間のきしみが生じ始める・・・
これは猫、特有の物語だと思った、色々な場所に行くから。
色々なところで見聞きしているだろうから。

・・・・
今回始めて知ったのだが、伯母さんの話が多い。
それで、原作者のサキが伯母さんに育てられた、と言う事実があることを知った。
だからか、伯母さんに対して辛辣な話が多いのは!