評価 4.5

アメリカの記念日(祝祭日)になぞらえた18の短編が入っている。
記念日の意味自体を把握していくのがとても大変だ。
この短編、ものすごく面白いと思った話がある一方で、よくわからないかもと思う作品もあった。
最後の解説、もう一歩踏み込んで解説して欲しい。
あとドワイトというファーストネームでアメリカ人でこの戦争に関係していて、ヒトラーの侵攻を食い止めたというのは多くの日本人はわかるのか?
(調べてアイゼンハワーで納得したが、ドワイトと言う名前とは私は知らなかった)
全ての作品を隣りに誰か識者に寄り添ってもらって解説して欲しい気持ちでいっぱいだ。
奇想あり、SFあり、異世界あり、でそのあたりは非常に楽しめる。
が、意味がよくわからない・・・解釈はこれでいいのか・・という曖昧さが自分の中に残る。
最後の解説で、英語のあれこれを読んでいて、これは日本語ではわからないだろうなあ・・・というものも多々あったのだった。

そんな私が良かったのは、
・取り替え子
昔友人だった人が大きくなっている。
そして刑務所にいた自分がその家族に会うと一人だけ子供のままのかつてのお兄ちゃんがいる。
今ではなぜか弟に。
そしてこの家族で奇妙に思っているのが唯一父親で、その子供がどこから来たか、というのを語ってくれた・・・・
ラストがとても良い、こういう展開になると思わなかった。
永遠に年をとらない不思議な子、の話だと思っていた。
日本の座敷わらしをちょっと思い出した。

・フォーレセン
自分が自分でないかもしれない、自分の居場所はここでないのかもしれない、
自分の妻はこれだったのか、と全てに疑問を投げかけるような転覆感がとても読ませる。
起きたら自分が何者かわからず、どこに出社していいかということまで指示がある(タイムカードの押し方まで指示されている)
不条理であり、くすっと笑える箇所もあり、映画でも面白いだろうなあ、と思う作品だった。
この中で、建物とか道路はまだ作っている最中(道が何しろ動くし、下の建造物もぐらぐらしている)が続き、印刷物は誤植だらけで混沌としているうちに一生が終わっていくフェイドアウトの感じもたまらない。

・カー・シニスター
車が子供を生む?
この奇想の元に話が進んでいく、そしてその子供はやっぱり車なのだが、とんでもない子供だった・・・
種付けをするというところからして発想がぶっ飛んでいて面白い。

・私はいかにして第二次世界大戦に敗れ、それがドイツの侵攻を防ぐのに役立ったか
歴史改変物で、ごちゃっとはしているけれど面白い。
チャーチルがジャーナリストになっている(しかも政治家を失職しているという皮肉な設定)、でドイツのヒットラー総統とのやりとりが光るし、途中にゲーリングも出てきて、さらには日本の小さな車も出てきてトランジスタまで出てくる、そして自動車競走・・・・

・ラ・ベファーナ
なんせ最初に六本足の人間じゃない生物、が出てきて、そこに人間の家族が次々とやってくる。
人間の家族のうち、おばあちゃんは六本足のゾズを徹底的に嫌っている。
話が進んでいくうちにどうやらここは地球ではなく、地球人が六本足の場所に寄生している貧しいという設定というのがわかってくる。
そして隣の部屋には、「おなかが大きいユダヤ人」がいる。
この話、イエスの話をずうっとしているので、それと関係付けて考えてみると非常に味わい深い。
隣がイエス・キリストが生まれる瞬間なんだろう、この世界で。