2015.07.08 時を紡ぐ少女


評価 4.9

合うかな~合わないかなあ~と思いながら読み始めた一冊。
結果としてはとても面白かった。
ファンタジーの部類に入るのだろうが、広義ではSFの部分もおおいにあると思う。
そしてラブロマンスもまた。

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最初の部分から捕まえられるまでが非常に面白い。
この世界がどうなっているか、というのが全くわからない。
どうやら主人公のアデリスは、この世界に心では反逆しているらしい両親に育てられている。
そして妹のエイミーは全く屈託がなくこの世界を信じている。
この世界とは、アラス。
アラスは、「紡ぎ女という名称の女性達がつづれ織りを織っていて、そこに刺繍娘が刺繍を刺す。
それが世界を形作っている」
と言う世界だった。
この刺繍娘になる試験があり、両親は落ちるように祈っていてアデリスに教育していたが
アデリスはうっかりその才能を見せて受かってしまい、それを家族には黙っていて、最後の夜を迎えようとしていたのだった・・・

刺繍娘?
この世界が糸で?
もし刺繍娘の採用に不合格だと、次は勝手に結婚相手が決められる世界らしい。
処女性が高く評価され、誰とも付き合ってはいけないという不文律があるらしい。
更に食べ物も限定されているし、子供の数も制限されているし、娘の行く末は政府が握っているらしい。

政府から徴用の人が来たときに、家族全員が地下の穴に(子供たちは知らなかった穴)逃げ込む。
ここらの緊迫した様子が理不尽な世界観とともに胸に迫ってくる。

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アデリスが捕まえられて特別な場所に入れられてからようやくアラスと言う世界の全てが見えてくる。
いわく、この世界は、糸を抜くことで(抜糸という)人を消すこと殺すことができると言うこと。
糸をばさっと地域ごと抜くことで、その地域全体をなくすこともできると言うこと。
ある部分を弄ることで、記憶の改ざんが出来ると言うこと。
人の脳のある部分だけを「縒り直す」ことで、その人を別人格にできると言うこと。

つまりは糸が支配している世界だったのだ、場所もそして人の脳の中すらも。
その世界をつかさどっている重要な役割の刺繍娘。
さらにはその上につづれ織りを織る紡ぎ女がいるということも。

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糸が世界を現している、というのがとても面白い。
そしてそれがある世界を見ることが出来る高い能力を持っているアデラスが政府に反抗的なのだ。
そこに一人の男のジョストが給仕長として現れ恋仲になる。
また管理側ではエリックという見目麗しい男性が出てくる、彼にもアデラスは心をやや惹かれている。

刺繍女の華やかな生活の中で、同僚から自分の妹を殺した(故意にではないが、糸を引いたのでその地域全体が消滅し妹も消えた)と恨まれるアデリス。
アデリスに敵意を持ち続ける刺繍女の長マイラはエリックの恋人でもあるらしい・・・・

特殊能力を持って自分の周りだけに糸の壁を作り、時を止まらせることすらできるアデリス。
糸をくぐって別の場所に行くことができるアデリス。
この物語、後半がやや冗長だ、恋の話がかなりを占めて行って世界観が見えにくくなっている。
これでこの残りページで終わるのだろうか・・・と思ったらこれはまだ序章だった・・・だからか。

三部作らしいので穴に落ちて、このあとどこに行くのか、残骸の残るアースとはどういう世界が待っているのかそこを期待したい。

以下ネタバレ
・エリックはこちら側。
エリックとジョストは兄弟だった。