2015.07.10 母性


評価 4

「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」

冒頭女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見され、それが自殺か他殺か・・・
という話が出てくる。

母と娘の物語で11年前にさかのぼって話が始まる。
「母親の手記」と「娘の回想録」に分かれていて、それぞれが同じことを同じように描写しているのにそれが少しずつ大きくずれて感じているというところが読ませた。
片方側(大体母親側)から良い事、としてしていることが、娘にとってはさっぱり良い事ではないということ。
更に娘が好意でやっていることを母親側から見るとそうではなく見えると言うこと。
これというのは、俗な言葉で言えば、そりが合わない母娘なのだろうか。
一方、母親になった女性は、過去に自分の母親を大震災で亡くしている。
その時に同時に娘を助けているのだが・・・
自分の母親に愛されて愛されて育った記憶が生々しい。

母親は姑にもいじめられる、この部分もかなり読んでいて陰鬱になる。
小姑にもいびられ、夫は活動家あがりで思想は持っているが助けにはならず・・・
こんな中、ある宗教にも加入させられそうになったり、母親の息つく暇はない。
期待の妊娠もある出来事で・・・・

・・・・
この二つの話とは別に、教員が冒頭に掲げた「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」を見て不審に思う。
この部分は、ある居酒屋で同僚の男性と飲んで話すと言うパートになっている(で、あとでここが何かというのがわかる)

後半が急ぎ足だった気もする。
言いたいことはわかる気もするのだが・・・

以下ネタバレ
・冒頭の女子高生が飛び降りたと言う話と、
この全体の話とは関係なく、

居酒屋で飲んでいる教員がこの話の主人公の育った娘。
そして今度は母親になろうとしている。
こんな大団円、で簡単に終わるものか、母娘の確執はとラストちょっと思った。

・大震災の時に
母親か娘かという時に、母親を採ろうとして
母親は舌を噛み切って自殺する、自分の孫を助けるために。

・自分の母親から愛されて育った女性(田所と結婚した女性で母パートの人)になんだか薄気味の悪さを感じたのだが・・・
なんでもこんなに母親の目線を気にするものか。
更に、この母親の佇まいもなんだか薄気味悪い・・・・リルケの詩を暗誦する母親・・・


・「愛能う限り」ってそんなに嘘くさい言葉なんだろうか。