評価 4.9

好みがぱっくりと分かれる作品だと思う。
そして私は大好き、の部類に入る。

本格ミステリをおちょくっているところ、またこの話全般のオチ、多重解決のそれぞれのしつこさ・馬鹿馬鹿しさ(一種バカミスの要素あり)、このあたりが嫌いな人は嫌いだろう。
ややしつこい、何しろ多重解決が全部で13だか14あるのだから。
だけど、私が面白いと思ったのは、それぞれの解決が馬鹿馬鹿しいものから、あ!と思うものまで多種多様に富んでいるところだった。
しかも一旦そこで納得するのだ、前の章の話を読むと。
読んでいる側も当然考える、そして違和感を感じるところは勿論ある、これは誰の言葉なのか、とか、これは誰なのかとか。

このミステリ、ちょっとした仕掛けになっている。
普通にクローズドサークルに閉じ込められた昔の大学のミステリー研究会の人達の中で起こる殺人事件、と思って読んでいる。
そうするとこれは単なるテキストで、それをミステリーリーグと言う公開の場所で、なにやら次々に人が解答して行って(早い者勝ち)当たった人は高額の当選者になるということが見えてくる。
そしてラスト、この外側部分に非常に驚かされる(が、ここはさほど面白くなかった私には)

早い者勝ちなので、話が途中で答えを言う人が多々いる。
そのあとにテキストが続いて行って、その指摘が間違いだったと言うのがわかったりある部分があっているのがわかったりするのだ。
でもこれ、アンフェアではないと思う、だってそこを見越して答えを行っているわけだから、解答者が。

男女取替えテクニック、名前の誤認、名前の思い込み、いるはずのない人がいる、いないはずの人がいる、それぞれの人の関係性、足りない人足りすぎる人、と本格ミステリのテクニックで色々今まで使われたことが山のように出てくる。
特に、多重人格のミステリって確かによく見かけるのでそこの皮肉におおいに大笑いしたのだった。
(この推理の中で、「並木」出現の話と白い階段を使ったテクニック、が笑いに笑った。)