評価 4.9

すうっと入ってきた、話が。
ちょっと遠ざかっていたばなな作品、それは、あまりにスピリチュアルな方向(一種宗教的な方向とまで感じられる)にいくのに辟易というのが正直なところだった。
けれど、この話は素直に入ってきた頭と心に。

これも、スピリチュアルといえば、その類のところがおおいにある、というか色濃い。
夢に過剰な意味を見出すとか(ばなな作品によく見受けられる)、警句のようなものも折々に見受けられる。
亡くなった祖父は一種の超能力者でもある、ここもまた荒唐無稽といえば荒唐無稽だ。
でもでも、それがなぜ自然に入ってきたのか、というのは自分でもわからない。
わからないが、違うことは違うこと、というのもとても身にしみてわかったのだ。

設定はおとぎ話だ。
海にわかめで包まれて捨てられていた赤ちゃん。
それが主人公だった。
彼女を拾って育ててくれた両親と一緒に小さな美しい村に住んでいる。
そこで簡易宿泊所を営む両親を助けている。
そしてある日、隣にある廃墟を買い取った昔の友人野村君、と再びかかわりを持っていく・・・
隣りの廃墟は一体なんだったんだろう。
母が骨折で入院する不幸が突然始まり、不気味なうさぎの夢、、玄関前に小石がおかれるという奇妙な出来事がある・・・・
一体これは何だろう。


一角が崩れ始めるとそれまでの幸せな生活が一気に侵食されていく。
その侵食される怖さもとても伝わってきた。
そして言葉の一つ一つ、たとえば

・こんなにも失うことが切ないなんて、なんと幸せなことだと思ったのだ。
・毎日のほとんどのことは、まるで意地の悪いひっかけ問題みたいにちがうことへと誘っている。
・脇道があることを、よく見ていなくてはならない。 目をそらしたら、甘えてしまう。

本人の言葉であれ、おじいちゃんの言葉であれ胸にしみたのだった。