評価 4.4

出だしはとても面白い、そして読ませる。
何かを思い出すなあ・・・と思っていたら貴志祐介のクリムゾンの迷宮だった・・・(クリムゾンは戦えるし外にいけるという違いはあるけれど)

なんせ起きたら灼熱地獄のサハラ砂漠。
そこになぜいるのかわからない。
起きて、なぜそこにいるのかわからない、と言ったタイプのミステリで
病院で包帯ぐるぐる巻き
というのはよくある。
あと記憶喪失で全く違う家にいるというのもある。
でもここに来る前までの記憶があり、全て覚えているのにサハラ砂漠・・なぜ?

しかもいくばくもしないうちに、上から公衆電話が落ちてくる!
落ちてくる?
もうここでSF?と思った、ここは異星の国なのかと。

しかも公衆電話から声が!
公衆電話の扉が閉まらないようにしていたけれど、外に手を出したら、そこから切断されたように手がなくなって砂に・・・・!

・・・・・
この話、現在と過去が交互に出てくる。
ここに至るまでの「僕」の恋愛の軌跡、会社での上司とのやり取り、同僚とのやり取りなども克明に出てくる。
加えて、今の状況で公衆電話があるのでとりあえず119を押してみるとなぜか繋がり
ここはサハラ砂漠です、
というなんともシュールなギャグのようなやり取りもある。

途中までは面白いのだが、ついていけるかどうかは、この「僕」の独特の一人語りについていけるかだろう。
この部分、私はかなり苦戦した。
大学時代に出合った女性(キリ)をセックスフレンドと割り切ろうとしている姿、
彼女と徐々に親密度を増していく姿、
会社での屈折した彼のポジション、
これらが共感をなんだか呼べないで、もやっとした。

キリに好感を持っていただけに、もやっ。
もやっといえば、ラストも、もやっ。
これはこれでいいのか。