2015年8月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4324ページ
ナイス数:328ナイス

斜陽 (新潮文庫)斜陽 (新潮文庫)感想
次回の100分で名著の作品なので久しぶりに読みました。全く古びていない話で、ちょっとしたユーモアもあるし読ませます。語り手のかず子が「結婚して子供を死産した出戻り」なのに、どう見ても生娘にしか見えない発言のあれこれが、あー没落貴族・・・と思いました。最初の方ですうぷを啜るお母様の場面、そしてそのあと続く衝撃的な(だった)庭でのおし・この場面、全てが優雅で美しく繊細なお母様の貴婦人っぷりがうかがえます。無頼派を気取っていた兄も結局は貴族の血が脈々と流れていて、作家の上原とかず子の絡みも非常に読ませました。
読了日:8月31日 著者:太宰治
新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)感想
新訳と言うので再び読んでみました。このミステリ、自分と言うものが揺らいできます、自分は誰なのか一体なにをしたのか。このあたりの不安感がぞくぞくとします。話は、自分の雇い主の車サンダーバードをちょっとだけ拝借し南仏の方に行く地味だった女が、初めてのはずの場所で皆が彼女を知っているという恐ろしい状況に投げ込まれる、と言うところから始まります。左手をつぶされる場面ですら、前にも左手に包帯をしていたじゃないかと言い張る人達・・・一体自分が間違ってるのか、皆が嘘をついているのか。連城さんの解説も読ませます。
読了日:8月31日 著者:セバスチアン・ジャプリゾ
女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)感想
スクールカーストの話、と思いきや・・・。第一部は残酷な子供視点、第二部は大人視点、そして第三部の真相・・・。読ませます、第一部のラストでおなかいっぱいになりながら、第二部はわかりました。が、ラストの章であるところ完全に騙されていて驚きました。騙されのある部分は、これあり?とも思ったし、ここは必要?と言う部分もあったしあざといところも多々ありました。でもあのあとどうなったのか、という興味は満たされました。でもなんといっても最後のところ、二人がおそらく二人とも「わかっている」というのが怖すぎ。
読了日:8月30日 著者:降田天
もしもし、還る。 (集英社文庫)もしもし、還る。 (集英社文庫)感想
起きたら灼熱地獄のサハラ砂漠!上から公衆電話が落ちてくる!荒唐無稽の状況で「僕」がしたことは・・・。現在と過去が交互に出てきて、ここに至るまでの「僕」が徐々にわかってきます。前半から中盤非常に読ませるし、混沌ぶりも良いし、最後まで読ませる力はありました。が、一方で、この「僕」の強烈な一人語りについていけるかどうかがポイントの作品かも、私はかなりそこで苦戦しました。セックスフレンドとかの言葉自体も、もやっ。最後も、もやっ。
読了日:8月30日 著者:白河三兎
このミステリーがひどい!このミステリーがひどい!
読了日:8月29日 著者:小谷野敦
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)感想
素敵な物語でした!台湾の話なので感情移入できるかとか危惧したのですが、全く問題なく、それどころか(なぜこの話が懐かしいのだろう?)という温かい思いに包まれました。話は、1900年代初頭の台北の一種のショッピングモールで商売をしかつ住んでいる家族達の物語(主に子供の視点)で、そこに歩道橋があり不思議なマジックをする魔術師がいるのです。現在大人になった人間が子供時代を回顧する部分もかえますが、何と言っても魔術師の「本当の」魔術にわくわくどきどき。幻想的で死を内包した美しい情感に満ちた語り口にも魅せられました。
読了日:8月29日 著者:呉明益
街への鍵 (Hayakawa pocket mystery books)街への鍵 (Hayakawa pocket mystery books)感想
人物の描写が非常に緻密であり読ませました。浮浪者連続殺人事件が起こっているのですがそれよりも、自分の身を削った人間に恋してしまう女性像とか、深く女性に執着してしまう男とか、仕事をしながら虎視眈々と上昇志向がある人間とか、人生を転落しきってそこに停滞している人間とか、どの人間の行動もぐいぐい引っ張っていってくれました。後半ある部分はわかっていたのですが、ある部分が全く想像圏外だったので、え!と驚きました、こういう繋がりがあるとは!作品全体に漂う安穏とはしていられない雰囲気がたまりません。ラストが唐突かなあ。
読了日:8月29日 著者:ルース・レンデル
抱く女抱く女感想
相変らず読ませるなあ・・・・この作者。1972年の大学生なのでさすがに知らないのですが、この時代を写し出しています、見事に。20歳の大学生直子の行く場所が、大学生のたむろしている麻雀屋、ジャズ喫茶、友達の狭いアパート(間違ってもワンルームマンションではない)とかここも昭和。社会に反発し物事を斜めに見て、はすに構えている直子。一方で時代はあさま山荘、革マル派、セクト、ウーマンリブと激動の時代で、これに洗礼されていく人々の暮らしの様が生き生きと炙り出されていました。恋を見つけた直子のその後、も読みたいかも。
読了日:8月8日 著者:桐野夏生
黒百合黒百合感想
久々に(7年ぶり?!)に再読。やっぱり面白い!と思いました。全てがわかっていても最後のところ、からーん、で度肝を抜かれます。ミスディレクションがたくさんあるので、これが?この人が?と色々思うのですが、そのあたりもとてもよく出来ています。なんと言ってもある夏の六甲別荘での淡い初恋物語にくるまれていてそこがとても心地よく瑞々しく、それと殺人事件と過去の物語がどのように絡んでくるかというのが読む醍醐味でした。時制が昭和年号と西暦で書かれているのでそこも一種の目くらましかも。
読了日:8月8日 著者:多島斗志之
海を照らす光海を照らす光感想
いい話だったなあ・・・読後、遠くを眺めたくなりました。話は、絶海の孤島のようなところで灯台守になる一人の男が、妻を得てそして子供を・・・というところである事件が起こるのです。島から見える情景描写、一人ひとりの心の揺らぎ、などが繊細に編みこまれています。前半は戦争から帰った一人の心に傷を負った男がある女性と恋をして結婚するまで、後半はもう一人の女性が街で差別された男と結婚するまで、と二つの恋愛も対比されています、どちらにも人生はあるのです。なんといってもラスト、泣けました。素敵な映画になることを祈って!
読了日:8月4日 著者:MLステッドマン
ジオラマ (新潮文庫)ジオラマ (新潮文庫)感想
こういういやーな気分にさせてくれる皮膚感覚でわかるレベルの話、巧いなあ・・・と思いました。短編集ですがどれも心ざわざわさせます、そして物語に入り込みました。ものすごく短いものもあるのですが、それすら起承転結がきちんとしていて、もう素晴らしい。心の中の何かが壊れる瞬間、日常がひっくり返る気持ち悪さ、全く見たことのない景色が一気に広がる恍惚感とその転落していく様、読ませます。冒頭の怖さ満点のデッドガールの不気味さと、あとで真相がわかる黒い犬が特に好きでした。
読了日:8月4日 著者:桐野夏生
ぼくは勉強ができない (文春文庫)ぼくは勉強ができない (文春文庫)感想
久々に読み返してみましたが(なんせそののちの時田秀美くんが序盤に登場すると言うので)やっぱり青春文学の名作だと思いました。勉強が出来てスポーツも出来てイケメンで出自も良いお金持ちのお坊ちゃま、というのだったら魅力半減。秀美君は、勉強は出来ないのです、スポーツは出来るけど。で、お金持ちでもなく編集者の母と爺ちゃんの三人暮らしでどっちかっていうと貧乏、でももてもて、というこの人物造型が素晴らしすぎ。大人と子供の中間の秀美くんが特に泣くところで電車の中のおばあちゃんにハンカチもらうシーンが忘れられません。
読了日:8月4日 著者:山田詠美
ぼくの短歌ノートぼくの短歌ノート感想
飄々としたユーモアたっぷりの穂村弘の切り口で切り取られた数々の短歌の新鮮なことと言ったら!知らない人もいるし、知っている人もいるし、だったのですが、一つの短歌からこれほど豊穣な世界が広がるとは目うろこでした。改悪例(改善例じゃなくて)というのが笑ったなあ・・・確かに元のほうがずうっといいや。塚本邦雄、寺山修司、の短歌はぞくっとするほど良かったです。あと葛原妙子も視点が面白い。
読了日:8月4日 著者:穂村弘
この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドン・キホーテのピアス17この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドン・キホーテのピアス17感想
兄貴!と呼びたいような鴻上(あえて呼び捨て)。時事ネタが多いので、その時に読まないと、と言う感はありますが、とても面白く読みました。適度な品性を保ちながら、世の中の不条理なことを淡々と書いていく・・・声高ではないのです、でも心にすとんと落ちるような書き方で。小保方問題、森・元首相エレベーターエピソード(なんてわかりやすいエピソードなんでしょう)、号泣会見、リクルートスーツ問題と話は多岐にわたっていますが、鴻上の劇とドラマの日常に挟まれながらの視点が独特で面白かったです。
読了日:8月4日 著者:鴻上尚史

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