評価 5

とても良かった。
小さい頃のバイブルと言ってもいいあしながおじさんを新訳で読んでみた。
私の慣れている訳ではないけれど、それでも改めてこの訳で読んでみて良かった、と思った。

ジュディの才気溢れる手紙、書簡体の斬新さ(子供の頃ははじめてこれが書簡体の小説だった)、何よりも茶目っ気の溢れる手紙の内容の数々、一行たりとも忘れてはいなかった。
楽しそうな大学生活、寮の出来事、休暇で行く農場の素晴らしさ、学園生活で行われる試験、スポーツ、学科の数々、ちらほら見える素敵な男性の数人、そして親友サリーとのヒトコマヒトコマ。
どれもこれも忘れがたいエピソードだ。
教養小説とも言える、ジュディが夜本を積み上げて一生懸命自分に欠けているものを身につけようとしている姿はまた可愛らしいし、読書家の心をくすぐる場面だ。

改めて読んでみると、これって叙述ミステリだと思う。
あしながおじさんが評議員であり、それについてジュディはたくさん色々な言葉を書いている。
書いているどころか、絵まである(コガネムシみたいな丸っこい評議員さん)
ラストがわかっていて読んでも尚、ああ・・・うまいなあ・・・と思わせる次第だ。

また、ラストを知っていると、男側、の気持ちもまた手に取るようにわかる。
(これって嫉妬?)
(これってツンツンしたいやがらせ?)
とかその方面でもくすりとするような新しい発見があった。

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ラストの解説で、とても素晴らしい解説がついていた。
いわく、マーク・トウェインが大叔父(!知らなかった!)と言う事実が、ジーン・ウェブスターの生涯に大きな影を落とす。
ジーン・ウェブスターの父と金銭面でトラブルとなり(裏切られた、父が)、父は他界してしまうのだ。
でもここで幸いなのは、大学にいけるだけの環境が残っていたと言うことだ。
これがなければ、あしながおじさんは生まれなかっただろう。

また、あしながおじさんは少女向け、と思っていたが、児童文学ですらそもそもなく、中流階級の奥様相手の雑誌に載ったという事実も指摘されている。
更に驚いたのは、赤毛のアン、小公女、あしながおじさん、秘密の花園は、「孤児がけなげに生きていって、持ち前の想像力とバイタリティーで未来を切り開いていく」というものだが(確かに!)、これまた、第二次大戦後ののGHQの日本人再教育プログラムの一環だったという(ここにまさかのGHQが!!)

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光文社古典新訳文庫、このように解説が素晴らしい。
訳もまったく違和感なく受け入れられた。