2015.10.13


評価 5

とてもよく出来ているし、読ませる物語だ。
一見、台湾の話、なので、ちょっととっつきにくいかなと思ったりもしたが、どうしてどうして。
青春物語とも読めるし、一種の強烈な台湾(と共に中国、日本)の歴史もあるので、ぐいぐい惹き付けられるのだ。
おまけに、ミステリの要素もある、ときては!
エンタメとして申し分なく楽しく読み終わったのだった。
そして、ラストがとてもとても良い、どういう終わり方をするかと思っていたら、このような・・・・

1975年、偉大なる総統の死の直後、敬愛する祖父は何者かに殺された。
17歳の破天荒な「わたし」には、まだその意味はわからなかった。
国民党、
中国から台湾、そして祖父の人生の黒い歴史とは。


出てくる登場人物も全員魅力的だ。
何度も出てくるやくざ者まがい(のちにやくざ者になってしまって、そのまたあとに変転する)の小戦、高校時代のエピソード出てきて後半再び出てくる雷威、可愛い年上の毛毛、更に「わたし」の家庭の特徴あるお父さんお母さん、そして殺されてしまった祖父、宇文おじさん、と魅力的な人物を挙げよと言ったら、枚挙に暇がない。

特に、暴れてはいるがなんだか憎めないでくすっと笑ってしまう、親友の小戦の姿は忘れがたい。
小戦が何とかやくざから脱会しようとして、宇文おじさんをも巻き込んでいくところも読ませる。
初めての恋愛の毛毛の可愛らしさも、日本製のパンツをパンツと思わずショートパンツと思って張り切ってはいてしまうところとか、ちょっとすねるところとか、際立っていて、こういう女の子だったら手放したくないだろうなあ・・・というのがわかる。

そして更に祖父の死の謎を解いていくうちに意外な事実にぶちあたるところも圧巻だ。
一体誰が、風呂桶に沈めるという残虐な殺し方をしたのだろうか。
この謎が解けたときに、ああ・・・だからか・・・と色々な感情がうねるように読者に来るのだ。

またなぜ毛毛が突然別れたのか。
彼女は本当に医者と結婚したいから、別れを切り出したのか。
この恋愛の謎も後半でミステリのように明かされる。
ここも見事だ。

・・・
この物語、途中で未来のことも書いている。
だから、もう全てが終わった、その場合、子供が死んで自分たちがもう離婚しましたよ、せっかく毛毛の失恋のショックから立ち直って結婚したのにその結婚はうまくいきませんでしたよ、というのが明かされている。
だからこそ、ラストの文章の切なさが胸にしみるのだ。