2015.11.18 家日和


評価 5

ものすごく良かった。
読み終わった後、爽快な前向きな気持ちになれる本だった。
時にくすりと笑いながら、それぞれの家庭の話に思わず引き込まれ、読み進めて行ってしまう、そういう本だった。

家庭の話、それも殺人事件が起こるでもなし、登校拒否の子供がいる話でもなし、あるのは、ただただ普通の家庭の話だ。
一部、リストラっぽいこととか、会社倒産とかそんな話もチラッとは出てくる。
でも、基本はどこにでも転がっているような普通の家庭の話だ。

家ってこうなんだなあ・・・と改めて思った。
ちょっとしたきしみ、のようなものはどんな家庭にもある。
大きな出来事とか齟齬とかは「立ち向かう」と言うスタンスで立ち向かうのだろうが、ちょっとしたきしみにどう対処するか、が家庭をうまくやっていくコツのようなものだと思う。

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この中で、会社が倒産して突然の主夫になってしまったサラリーマンのサニーデイも笑いながらじわっと来た。
結構自分の立場を楽しんでいるのに周りの目は同情を含んでいる。
外に出るようになった妻が、かつての自分の悩みがわかるようになり、そして自分は自分で主夫になってからそうかここで帰りの電話をすればいいんだというような細かいことに気がつくようになる、という男女逆転の構図が美しい。

夫とカーテンも笑った笑った。
外から見れば、職を転々として、思いつきの仕事を立ち上げ次々にやってしまうどうしようもない夫。
でも夫の人に取り入る類希なる才能を妻はきちんと認めていた。
そして彼がうまくいかないときには、自分のイラストの仕事が素晴らしくなる因果関係にも気付いてしまった・・・・

家においでよ、なんかは夫の気持ちがわかってわかって、痛くなるほどだった。
おしゃれな妻が描いた空間の家、そこは自分の昔の下宿の面影もない。
でも妻と別居して、自分の思い通りの部屋の空間を作り出すことにはまる夫の姿が微笑ましい。
そしてそこに集う学生のような同僚達・・・この人達もまた居心地のよさを作り出した部屋の空間に感じているのだ。

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全体に、ちょっと困ったこと、困った人達、が出てきても、必ずそれを明るく受け止める「誰か」がいる。
そういう人でこの世の中、救われているのだなあ・・・と感じたのだった。