評価 5

こういう感じの書評があってもいいなあ・・・ととても好感を持って本を閉じた。
小難しいことは言っていない。
だけど、「あのきょんきょんが書いた!」という色々な意味での色眼鏡で見る私達の何かを確実に吹き飛ばしてくれた本だった。

芸能人の書評?
ちゃらくないだろうか?
もしくは、なんだか誰かにそそのかされたような無理したイメージ作りの書評じゃないか?
真面目に取り組みすぎてイタイのではないか?
自分の売名行為?

こういうのが全てない。
それでいて、いい意味での読者の心をつかむ「あのきょんきょんの心の吐露」みたいな要求も満たしている。
何度か、自分が離婚したこと、子供がいないこと、将来へのぼんやりとした不安、子供時代のこと、父親の最期、母への思い、中学校時代の自分、という等身大の小泉今日子が見て取れる。
書評って、全く自分の姿を隠した書評もあるけれど、こういう自分の姿を見せる書評もある。
そして小泉今日子が書くのだから、どうしても皆彼女の背景を知っているし、アイドルだったのも知っているし、離婚したのも当然知っている、相手が誰かまで。
こんな特殊な状況でさぞや書きにくいだろうと思うのだが、そこを実に上手にクリアーしている、と思った。

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新聞で書評を書いているということ自体(それのまとめの本だ)ちょっと意外な感じもする。
そして等身大の彼女の描く書評は、どの本も読みたいなあ・・・と思わせてくれる書評だった。
ちょっとした彼女の一言で、読んでみたいかも!と思ったりする本が何冊あったことか。

ふっと彼女の心の吐露を読んでいると思うと、その本の中に入り込ませてくれる。
読んだ本では、(あ、こういう読み方を彼女はしていたのだなあ・・・)と改めて感心したりする(核をついていることが多いので、感心する)
大上段に振りかぶることもなく、真摯に本に向き合う態度。
それが読ませてくれたのだと思った。
それにしても10年間の長きに渡った書評。
それだけでも価値がある。

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内容には関係ないけれど
最期のところに、本の一覧があり、どれがどこから出ているかというのが示されているのと
本の索引があるというのが(これがない書評集って多い)
丁寧に作られた本だなあ・・・とそこにも感心した。