2015.12.02 Aではない君と


評価 4.7

つ・・・辛い・・・
読んでいて途中でぱたんと本を閉じてしまった。
そこから数日・・・気を取り直して読み返す、そういう本だった。
どこが辛いかと言うと、
「友人を殺してしまった息子」
に葛藤する父親の心情がわかりにわかったからだ。

離婚してしばらく離れていた父親。
自分の仕事も順調で恋人も新しく出来て、離婚はして息子は妻に預けたけれども、外から見ると順風満帆に見える父親。
しかし息子はある殺人事件を犯した、というのが判明する。
ここから父親の苦悩が始まる・・・・

この父親の葛藤と苦悩が息苦しいまでに伝わってきた、それに伴う家族の崩壊も。
これは誰にでも起こり得ることだから。
コミュニケーションが少なかった自分を責め、一緒に住んでいた妻を責め、最後のときの電話になぜでなかったかという自分を責め、交友関係を把握していなかった妻を責め、とこのスパイラルに最初の内は陥っている父親がいる。
そして黙秘を続けている息子の心を開こうとなんとか努力していく父親・・・
その姿が痛々しい。
もっとここの前に努力していれば、と誰しも思うだろう。
けれど、こんな風になるとは誰も予測してなかったわけだし、予兆というのも見逃したといえばそれまだだけれど、誰もこんな真剣にずうっと子供を見つめていることは出来ないと思ったのだった。
しかも仮に前の段階で子供を見つめすぎたら、今度は子供が息苦しくなるだろう。
そのあたりの子供と親の関係性って、危うい薄氷のようなもので出来ているんだなあ・・どの家族も、とつくづく思ったのだった。

子供が「なぜ殺人を犯したのか」というのにたどり着いた時に、子供の心が本当にわかった、と父親は思う。
そしてそこで何があったのか、というのも父親は想像して真相にたどり着いた、と思う。
殺人はいけないことだが、それでも尚この場合は理由があったのだと。
しかし本当の真相は更にその先にあったのだった。

・・・
後半、子供が出所してから、の話になる。
この前、で終わって良かったのではないか、とややそこは思った。
ここは読者の想像に委ねてほしかった。

以下ネタバレ
父親は、

息子が殺意がなかった

と思いたく、実際証拠からそう思うのだが
実は
息子は殺意はあったと、自分で告白していた。

・息子は殺した少年の一派にいじめをうけていた。
猫を殺すように命じられたり、ハムスターを殺すように命じられたりしていたのだった。
裁判ごっこと言う名目で被告にされたりもしていた。