2015.12.08 あこがれ


評価 5

私の心の芯、を捉えた作品だった。
どちらも、子供の語りで書かれている、前半は男の子の、後半は女の子の語りで。
そこが実に瑞々しいし、こちらの心にぱっと飛び込んでくる。
特に男の子の麦君がいいなあ・・・と思っていたら、後半のヘガティーの異母姉探しで、
(あ!やっぱり作者は女性だから、女の子部分がうまいや!!)
と改めて思った。
どちらの部分も書き留めておきたい言葉がたくさんあった。
生意気すぎる子供達、でもなく、冷めている子供達でもなく、普通の男の子と女の子でちょっと家庭が複雑な子供達の姿が生き生きと描かれている。
女の子の家での映画会の話とか、女の子がちょっと銃撃戦を真似してそれに素直にすごいといえる男の子の言葉とか、二人だけの秘密(秘密と二人が意識していないところがまた良い)のさよならの言葉アルパチーノとか、トム・クルーズ談義の幼い感じとか、夏への扉をうんうん言いながらヘガティーが読んでいる話とか、エピソードもそれはそれは楽しいのだ。

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前半小学4年生から後半小学6年生まで2年の月日が立っていて、その分二人とも成長していて微妙に状況も変わっている。
男の子は絵の上手な麦君(麦彦君)、お父さんがいなくてちょっと不思議な占いの仕事をしているお母さんと二人暮らしで、前半の話では寝たきりのおばあちゃんがいる。
女の子はヘガティー(おならの臭いが紅茶のにおいがしたというのに由来)と言う女の子、お父さんが有名な映画評論家でお母さんとは死別している。

男の子の麦君の茫洋とした(でもはしっこくもある)佇まいが実に良い。
最初の話は、サンドイッチ売り場で見かけた、読んでいくと多分整形を失敗した女性のお化粧をじいっと見て、それを絵にしていく麦君がいて、そしてそこの売り場でトラブルが起こったのを目撃して動揺する麦君もいる。
クラスの中でも、このミス・アイスサンドイッチ(と麦君がつけたあだ名)の話題が他の女の子グループから出て、どきどきしながらそれを盗み聞きする麦君。
この話をヘガティーにすると、彼女に会え、ということを勧められる。
幼い二人がこの話をしあうところなど最高に読んでいてわくわくするし、ヘガティーのきみはミスアイスサンドイッチがすきなんだね、と喝破したところなど素晴らしい。
絵で自分を表現する麦君もまた素敵なのだ。
また、この話をもう口もきけないおばあちゃんの寝床で語る麦君の姿も胸を打つ。

女の子のヘガティーは後半の話で、あっという間にネットで偶然異母姉がいたことに気付く。
彼女は会いに行こうとするが、そこに麦君もついていくのだ。
この話、ヘガティーのどきどきする感じとか、妙に余計なことまで緊張のあまり車馬ってしまう感じとか、最後に真相に気付く利発な女の子の本領発揮の部分とか、それはそれは女の子の流れるような感情がよく描かれている。
そしてそこにいる麦君の静かな姿も印象深い。